取材のプロセスが可視化・相対化されていく
堀江氏がブログで取材内容を公開したのは、今回が初めてではない。09年2月には、週刊文春からの取材メールを「ブログで回答を公開すれば発売される同誌の記事と比較できるから面白い」として公開。「元ライブドア取締役の宮内亮治受刑者の人形をゴルフ場で打つのか?」といった質問に対して「事実無根」と回答したことを明らかにした上で、
「こういう事実無根の話は、誰が『創作』するのだろうか?」
と憤っている。なお、この取材結果は、同誌の09年2月26日号で「ホリエモンがゴルフのお供に持ち歩く『宮内人形』」というタイトルで記事化されており、記事では
「『創作』ではないことは改めて断るまでもないが、ここはまあ、売り上げに貢献してくれてありがとう!と一応言っとこう」
と反撃している。
ただ、このような「取材のプロセスが一般に公開される」ということは、決して今に始まった話ではない。例えばITジャーナリストの佐々木俊尚氏は04年11月、ウェブサイトの運営者にメールで取材を申し込んだ時のエピソードをブログで振り返っている。
この時は、「メールに限って取材を受ける。対面や電話では受けられない」といった趣旨の返答があり、その理由は
「メールでのやりとりであれば、そのやりとりの詳細な内容をウェブにアップし、その後記事に掲載された折りに取材内容をどの程度正確にお書きいただいたかを検証できるからです」
というものだったと言う。佐々木氏は
「今だから正直に打ち明けられるが、少し嫌な気持ちになった。どうして嫌な気持ちになったのかはよくわからないが、たぶん『取材』という行為のプロセス自体を、公にした経験がなかったからだろう」
と、当時の心境を明かす一方、取材自体については
「私自身はできうる限り公平な視点で記事を書けたと思うし、結果的にはこのメールでの取材は非常にうまくいったと思う」
と振り返る。
このブログが書かれたのは実に4年半前。この時点で「取材のプロセスが可視化・相対化されていく」という傾向は、すでに明らかになっていた。