記者クラブ側は、抵抗示す?
首相会見をオープンにしたときのセキュリティやキャパシティの問題について、ジャーナリストの上杉隆さんは、次のように指摘する。
「官邸主催でも、欧米では、それなりの人を許可してパスを出し、団体などが入らないようにしています。また、不審者については、厳しくボディチェックをしていますよ」
記者クラブが会見を主催するのは、権力側に都合よくならないためという根拠が挙げられる。これに対して、上杉さんはこう反論する。
「クラブが結束して何をしたのか、ただの一度も記憶がありません。政治家のスキャンダルも、雑誌メディアがスクープしたのを追いかけているだけでしょう。権力側にとって、クラブ以上に都合がいいことはありません。主催にこだわるなら、権力にルールを作られる前に、自らオープンにすればいいのです」
ところが、上杉さんによると、オープンどころではなく、記者クラブ側がそれに抵抗していると言うのだ。
「鳩山さんの就任会見では、テレビが生放送するというので、手を挙げてもなかなか当ててもらえませんでした。鳩山さんは、『上杉さんどうぞ』などと言ってくれましたが、記者が事前に事務局に頼んで私に当てるのを後にしてもらっていたようです」
実際、民主党ホームページから当時の動画を見ると、1時間の会見のうち37分過ぎごろに上杉さんが当てられている。質問に立った上杉さんは、なかなか質問できなかったことを「右手のいい運動になりました」と皮肉っていた。
民主党の報道担当は、こうした事実関係を全面否定しているが、上杉さんはこう言う。
「会見をいきなりオープンにすると反発があるので、最初は、記者クラブ主催と官邸主催を同時並行的にやっていくしかないでしょう。やるのは当たり前ですが、徐々に変えていくしかないと思っています」