名古屋市の河村たかし市長(60)が「市民税10%減税」などの公約を実現に移そうとして波紋を広げる中、今度は「年収は800万円しか受け取らない」という公約を実現に移そうとしている。実際に、「初給与」170万円を受け取らなかったのだが、市役所は「条例で支払うことになっているので、支払わないことはできない」と困惑気味だ。
「『支払わない』ということはできません」
河村市長は2009年5月18日の記者会見で、「年収800万円以外は、約束通り受け取らない」と改めて表明。「市長が市民のことを決められるのは、市民と同じ生活をしているからだ」などと持論を展開した。
市長の給与は市の条例で決められており、現在の年収は約2578万円。この日は4、5月分の給与計170万円が支給される予定だったが、会見で河村市長は、これを受け取らなかったことを明らかにした。
ただ、給与の支払いを担当している総務局給与課によると、
「条例の中で支払うことが定められているので、条例が改正されない限り、市としては支払っているはず。『支払わない』ということはできません。今回の給与170万円が、実際に本人の手に渡っているかまでは分かりませんが…」と、「あくまで、市としては支払っている」との立場だ。気になるのが170万円の行方だ
が、市長室の秘書課が現状を明かした。
6月議会に、年収を800万円に引き下げる条例案を提出予定
「市長に(170万円を)受け取っていただけていないので、現在はこちら(市長室)で預かっている、という形です。具体的には、現金で金庫に保管されています」
河村市長は09年6月議会に、市長の年収を800万円に引き下げる条例案を提出する予定だが、これが可決されるまでは、毎月のように金庫に1万円札が貯まり続けることになる。金庫に貯まった現金については、今後、市の財布に戻すなどの方向性があるとみられるが、秘書課では
「現金をどうするかについては、全く未定です」
と、対応に苦慮している。