調査を本格化させたのは2008年秋
なぜ多いのか。かんぽ生命によると、保険金請求時に診断書の入院日数を実際より短く誤読するなど郵便局窓口での査定の単純ミスが目立つという。また、小口のため同一契約者が複数の簡保に加入しているケースが多いにも関わらず、契約データの名寄せが行われていないため、請求されなかった契約が不払いのまま放置されている。
それでも不払いの多さや原因については、反省の弁が聞かれるからまだいいが、民間生保に比べて実体解明が遅れたという認識はないようだ。ある幹部は「07年5月に当時郵政公社総裁だった西川善文・日本郵政社長が『調査する』と公言し、その通りに進めていて落ち度はない」と言う。
民間生保は05年7月に金融庁から不払いの一斉報告命令を受けた。郵政公社(当時)の監督官庁は総務省で、一斉報告をまぬがれた。かんぽ生命が調査を本格化させたのは2008年秋のことだ。「郵政民営化(同年10月)の手続きに追われ、調査どころではなかった」。関係者は口をそろえるが、契約者に理解されるだろうか。