「無理強いなく、金も払わず」でなぜ 大学生の淫行逮捕に疑問相次ぐ

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「変えるとしたら議会などで議論していくしかない」

   淫行処罰規定のある青少年保護育成条例は、長野県を除く都道府県で定められている。しかし、「恋愛規制条例」と批判もされており、福岡県の事件では最高裁まで争って1985年10月に判例になっている。

   この判例では、交際・婚約中の青少年の場合は処罰の対象にならないとしたうえで、千葉県の条例のような内容は違憲ではないとしている。しかし、裁判官3人が、結婚できる16歳以上にも適用することは性的自由の不当な干渉だなどとして、淫行処罰規定は違憲という反対意見を述べている。

   自治体や司法関係者の間では、未だに条例についての見方が分かれているようだ。

   全国で唯一条例がない長野県では、「青少年の健全育成は規制してできるものでない」(生活文化課)と説明。「あくまで住民運動や啓発努力など活動の広がりでやっていくべきと考えています」といい、今後も条例を作る予定はないという。また、日弁連では、「淫行処罰規定については、子どもの人権を制限する面がある一方、子どもを守る面も確かにあります。基本的には慎重であるべきとの立場ですが、2つの利益が対立しているのは事実です」(人権第一課)と明かす。

   条例に詳しい慶應義塾大学の小山剛教授(憲法)は、男子大学生の逮捕について、こう話す。

「合意と恋愛感情とは違います。具体的な中身が分からないと何とも言えませんが、警察が逮捕するのは、条例の内容とどんぴしゃりなことをやったと判断しているケースだと思います。成年の合意とは違いますし、青少年の未成熟などを考えないといけません」

   もっとも、恋愛関係から警察が逮捕した場合は、条例違反を適用したことが憲法違反になるという。実際、愛知県の事件では、互いに恋愛感情を抱いていたとして、2007年5月に名古屋簡裁で無罪判決が出て確定している。

   ただ、小山教授は、淫行と恋愛を分ける基準が分からないとの声には理解を示し、次のように指摘する。

   「現在の条例では、淫行の適用を、憲法違反だとして排除できません。市民が望んだとして作られた条例ですので、もし変えるとしたら議会などで議論していくしかないでしょう」

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