ソフトバンクとドコモ 接続料めぐる同床異夢

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   携帯電話事業者が互いの電話網を利用する時に支払う「接続料」の算定ルール作りが進められている。総務省の情報通信審議会接続政策委員会が2009年6月にも原案をまとめる。各社トップを招いた意見聴取では、大手3社の意見が対立。それぞれが日を改めて記者向け説明会を開いて持論を展開する"場外乱闘"にも発展した。熱い接続料論議の行方は。

各社は持論の正当化に必死

   意見聴取は3月に2回に分けて行われた。その席でNTTドコモの山田隆持社長は「一部の事業者の料金が高止まりしている」と暗にソフトバンクモバイルを批判した。これに対しソフトバンクの孫正義社長は、割り当てられている周波数がドコモやKDDIとは異なり、基地局を多く設ける必要があると反論した。

   07年度の接続料(3分間)は、ドコモ32.4円、KDDI34.38円、ソフトバンク38.7円で、確かにその差は小さくない。

   そのため各社は持論の正当化に必死だ。意見聴取の後の3~4月、各社それぞれが記者向けの説明会を開いた。ソフトバンクは電波の違いによる投資コストの差を「1.7倍」と公表。ドコモは「KDDIとソフトバンクは自社内通話無料のサービスで生じた赤字を、接続料で補てんしている懸念がある」と批判し、ソフトバンクの投資コストの差を「5%程度のはずだ」と反論してみせた。

   批判し合う両社だが、それぞれ別の思惑で「算定ルールの統一化」に賛同している。接続料が公表されているのは、シェア25%を超えて通信事業法で指定されたドコモとKDDIだけ。さらに接続料の算定方法が規定されているのは、収益ベースシェアで25%を超えるドコモだけだ。他社を同じ土俵に上げて勝負を挑む構えのドコモに対し、ソフトバンクも、同じルールの上ではじいた接続料であれば、ソフトバンクが高くなるという現行のような差は正当化されるはず、という思惑がある。

auは「競争が機能しているため、ルール化必要ない」

   この両社に対して、auの小野寺正KDDI社長は「競争が機能しているため、ルール化は必要ない」と強調し、むしろ批判の矛先を固定電話に向ける。「算定ルールが統一されて接続料が下がれば各社の減収につながり、むしろNTT東西のみ利することになる」という考えからだ。

   激しい意見の対立をにらみながら、審議会は「ルール作り」に向かって走り始めている。接続料に販売奨励金が算入されていることへの批判があり、ルール作りは不可避との構えだ。ならば「算定ルールの透明性が高まって接続料が下がれば、通話料も下がるのでは」と期待も高まる。一方、総務省内にも「接続料が下がれば各社のコストは減るが収入も減る。必ずしも通話料が安くなるとは限らない」との冷めた見方もあり、行方はまだ見通せない情況だ。

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