「季節性のウイルスに新型のウイルスを足して作ればよい」
新型インフルエンザのワクチン不足や製造の遅れには、どのように対処すればよいのか。
北海道大学の喜田宏教授(微生物学)は、こう指摘する。
「季節性のウイルスに、新型のウイルスを足して混ぜる製造方法で、ワクチンを作ることができると考えています。日本は、ワクチンそのものが足りないことはありません。季節性インフルエンザでは、毎年何千人もが死んでいますので、そのワクチンを減らす理由はなく、足りなくならないようにすべきです」
この製造方法だと、たとえ第2波に間に合わないとしても、季節性のワクチンを犠牲にせずにすむわけだ。
一方、新型インフルに詳しい、けいゆう病院の菅谷憲夫小児科部長は、予防接種が任意になった直後に比べ、ワクチンの生産能力は上がっているとしたうえで、製造の遅れについては、次のように提言する。
「(高齢者など)ハイリスクと考えられる人に対し、第2波が来る前に、タミフルなどの予防投与をするのが現実的だと思います。ただ、第3波もあるかもしれませんので、新型のワクチン開発は必要です。そして、副作用には十分に気をつけながら、予防接種を進めていけばいいでしょう」
厚労省の結核感染症課では、「季節性のウイルスに新型のウイルスを足して作るといいワクチンができない可能性がありますが、いろいろな選択肢について検討しています。新型ウイルスのリスクがどのくらいにもよりますが、季節性とのバランスを考えてワクチンを作る方向で考えています」と話している。