「アニメ振興ならば、『アニメのまち』杉並で行うのが自然」
一方、具体的な建設時期や規模は曖昧なままで、時期は「可能な限り早急に取り組むことが必要」。建設規模は、延べ床面積約1万平方メートル、土地面積2500平方メートルで、建物は4~5階建てを想定していると言うが、肝心な建設場所については「東京都内とすることが適当」「東京臨海副都心(お台場)は、好適地の一つ」とするにとどまっている。
設備面についても、
「質の高い展示を行うための設備、アニメ等を上映するためのスクリーン、情報提供を行うためのコンピュータ機器等について十分な整備がなされるべきである」
といった記述があるぐらいだ。
また、運営は外部に委託するといい、入場者数は文化庁が主催している祭典「メディア芸術祭」の08年の1日あたり入場者数が約5000人だったことから
「(「センター」の)1日あたりの来場者数としては、最低限、この半数程度を達成すべき」
として、「1日250人×年間開館日数250日」で、年に「約60万人」を見込んでいる。
麻生首相は前出の衆院本会議で、
「今日、日本文化発信の中心的存在であります、アニメ、マンガ、ゲームなどの『ジャパン・クール』と呼ばれるメディア芸術の国際的な拠点を形成することが重要であると考えております。新たに創設いたします国立メディア芸術総合センターは、独立行政法人国立美術館の一組織として設けるものですが、管理・運営はすべて外部委託にするとともに、必要な財源は自己収入でまかなうということに致しております」
と答弁したものの、やはり詳細は不明だ。
「アキバ文化」にも詳しいITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「麻生さん自身が『オタクの聖地』と呼んでいる秋葉原や、腐女子が多く出現する『乙女ロード』がある池袋などとの連動性がないまま、突然お台場に『建物』が作られるということに、唐突な感じを強く受けています。アニメ振興ならば、『アニメのまち』杉並で行うのが自然でしょう」
と、「お台場」という場所に対する違和感を強調している。さらに、アクセスの悪さが致命傷になる可能性すら指摘している。
「仮に『ハコモノ』を作るにしても、例えば、秋葉原で閉鎖されることが決まっている『石丸電気SOFT1』を借り上げるなど、他にマシな場所や、やり方はあるはずです。閉鎖が決まった厚生労働省の『私のしごと館』(京都府相楽郡精華町)は、アクセスが非常に悪いことが問題点のひとつだったのですが、お台場も決してアクセスは良くはありません。今回の『センター』が『しごと館』の二の舞にならないか心配しています」
鳩山氏も、やはり麻生首相の答弁に納得していないようで、5月9日に青森県南部町で行われた講演でも
「簡単に言えば国立のマンガ喫茶。大変な浪費で、ばかばかしい」
と批判した。