消費の停滞懸念で「L字型」との見方も
第一生命経済研究所の嶌峰義清・主席エコノミストは、「景気はすでに底を打った」とみている。企業の業績悪化を背景とする「5月危機説」も先行きの景気回復感が強まり霧散した。
連休明けのフジサンケイビジネスアイが15人のエコノミストに聞いた緊急アンケートでも、回答者の4割が09年後半の景気回復を予測している。
景気回復の基調は「ナイキ型」。NIKEのシンボルマークのような、緩やかな、しかし勢いを感じる形。「チェックマーク型」ともいう。
「V字」回復と違って、「ナイキ型」は回復の「角度」が浅く、徐々に加速していく景気回復のパターンを指す。流星のような「勢い」が感じられる半面、流星のシッポにみられる「先細り」の印象もある。
前出の嶌峰氏は「じつはエコノミストのあいだでは『L字』型ではないか、との見方もあります」と明かす。急激に落ちて、あとは横ばい。「底打ちはしても、回復感に乏しい状態が続く」というものだ。
かつての急回復を示す「V字」型は、バブル崩壊後の業績悪化で人員削減などのリストラ策を徹底的に行った結果の業績回復で「痛み」が大きかった。今回の世界的な景気悪化でも、企業はかなり思い切った生産調整とそれに伴うリストラを断行。業績の「V字」回復を支えてきた非正規労働者などの解雇でまかなった。いまはそのツケが重く、なかなか浮上できないというわけだ。
欧米でバブルがはじけて、バランスシートの調整により消費の停滞が懸念されることで、「経済成長率も回復後の米国で1~2%、日本でも1%程度が続く『L字』型を想定している」と、嶌峰氏も「L字」型という。