「楽々東大に受かる」生徒たち 海外のトップ大学目指し始める
(連載「大学崩壊」第7回/ベネッセコーポレーションに聞く)

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   日本の大学が「地盤沈下」していく一方で、国内の高校でなく海外の大学を目指す動きが加速している。2008年には、ベネッセコーポレーションが、海外トップ大学を目指す高校生のための塾「ルートH」を開設した。いま5人の高校生が、海外受験に向けて対策を進めている。「海外熱」が高まっている背景について、「ルートH」担当で、首都圏事業推進室初等中等教育課課長の藤井雅徳さんに聞いた。

受験者のうち高1の6%が第1志望に海外の大学指定

海外大学進学塾「ルートH」の取り組みについて語るベネッセコーポレーション・藤井雅徳さん
海外大学進学塾「ルートH」の取り組みについて語るベネッセコーポレーション・藤井雅徳さん

――「米国のトップ大学を目指す」という傾向が出てきたのは、最近のことでしょうか。

藤井:   弊社が展開している高校生向けの「進研模試」には200人近くの営業担当者がいて、学校の先生方とお話しする機会もあるのですが、5~6年前から、進路指導の先生から「海外の大学についての情報が欲しい」といったお話をいただくようになりました。
   背景には、ここ10年ほどで中田英寿、野茂英雄、イチローといった、世界で活躍する選手が続々と登場して、高校生の中にも、具体的な「世界で活躍する姿」のイメージを持ちやすくなったことがあるのではないでしょうか。さらに、高校生の側から情報を求める動きが高まってきた、という面もあります。例えば、灘高校からハーバードに進学した方が、03年頃のハーバード受験の過程をブログに綴っていて、受験生がロールモデルを見つけやすくなったことが挙げられます。海外大学を志望するような高校生は比較的ITリテラシーが高いですから、このようなブログを発見したりして、受験情報を収集する、というケースも多いです。

-――具体的には、どのくらいの数の高校生が、海外進学を希望しているのでしょう。

藤井:   医学部や難関大学受験生用の模試「プロシードテスト」では、08年2月実施分から、志望校として海外の大学も指定できるようになりました。このときは、高校1年生が約5000人、高校2年生が1万3000~1万4000人が受験しました。模試では、志望校を4つ指定できるのですが、受験者のうち、高1の6%、高2の4%が、第1志望校として海外の大学を指定していました。海外大学への関心の高さを裏付けるエピソードのひとつだと思います。
   さらに、米国の大学入試で使われるSAT(大学進学適性試験)の対策模試も、国内でスタートしています。08年11月に第1回目、09年2月に第2回目が行われたのですが、それぞれ30人程度が受験しています。内訳は、インターナショナルスクールが3分の1、公立が1~2割、残りが私立です。高校2年生の受験が多かったですが、中には中学生の受験生もいました。3分の1が首都圏以外からの受験でした。地方でも、海外大学への関心が高まっていると実感しています。

――どのような層が関心を。

藤井;   ご家庭からの問い合わせも多くて、MBA(経営学修士)ホルダーや、海外赴任の経験がある親御さんからの問い合わせもあります。米国の大学院で学んだ親御さんが「子どもを学部の段階から米国で学ばせたい」というニーズも高まっているようです。
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