「解説記事などを読む人がどれだけいるかは疑問」
金融ニュースは米ブルームバーグが独り勝ちとも言われ、日本でも、日本語ニュースなどを配信している。そんな中で、名門とはいえ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に勝算はあるのか。
SBIホールディングスでは、こう強調する。
「速報にも力を入れますが、論説がメインになります。グローバルな経済について深く解説した記事で、アメリカではご意見番とされています。それを日本人の肌に合うようにして、十分棲み分けができると考えています」
ネットとメディアとの関係に詳しい評論家の歌田明弘さんは、その勝算について、やや懐疑的だ。
「日本でウォール・ストリート・ジャーナル紙を読む人は限られ、知名度はアメリカより低いので、コストをどれだけかけずに展開できるかにかかっているでしょうね。解説記事だけでは料金設定にも限界があり、アクセスをどう集めるかも課題ですね」
かつてライブドアなどのIT企業がテレビ局の買収に乗り出すほど、マスメディアは脚光を浴びた。しかし、各メディアが経営難に陥っている状況に、歌田さんは、「今はアメリカでも新聞社の買い手が見つからなくなっているぐらいで、企業にとって、お荷物になりかねない状況です」と指摘する。SBI社が提携したことについて、「同社のグループの会員制サービスなどでの付加的なサービスとして利用するなど二次的な展開を考えているのではないでしょうか。そのような可能性に着目しているのだと思います」
日本のメディアへのインパクトについても、その影響力低下から、「ウォール・ストリート・ジャーナルが日本に進出したことの心理的インパクトは大きいと思いますが、実質的な脅威はさしあたりは限定的でしょう。たしかに日経などには潜在的には脅威になりうると思いますが、とりあえず様子見というところでは」と話している。