懐かしの味、記憶との密接な関係
ロングセラー食品の人気の理由は何なのか。何度食べてもおいしいと感じる「お袋の味」と似ている。
「子供の頃から食べている味は、記憶と密接に関係しています」
というのは、「うまみ」について研究している京都大学農学研究科伏木亨教授。
カルピスが発売された当時、今のように甘い食べ物はほとんどなかった。それだけに洗練された甘みのあるカルピスは、子どもたちの記憶に強く残ることになる。大人になって飲んだ時に記憶が蘇り、一層おいしいと感じるようだ。「幸福な記憶」が代々受け継がれ、飲料が豊富にある今でも子どもにカルピスを飲ませる親は多い。
インスタントで手軽に作れるボンカレーは、子どもの頃や学生時代に家でよく食べられている。大人になって食べた時、なんとなく「ほっとする」のは、「お袋の味」として記憶に残っているからだという。
伏木教授は、
「カレーには『脂っこさ』『強いうまみ』『野菜の甘み』といった誰もが好きになる要素が入っている。レトルトシチューではここまでのベストセラーにはならなかったでしょう」
と話している。