「グーグル・アース」に差別地名 国会で指摘され引っ込める

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   「ストリートビュー」や書籍の著作権問題などで波紋を広げるグーグルだが、今度は衛星画像表示ソフト「グーグル・アース」の機能に問題が指摘されている。このソフトでは、衛星写真の上に古地図を重ねる機能がある。江戸時代の古地図には差別的な地名が表示されているものがあり、国会でも「差別的に扱われる可能性がある」と質問が出た。「グーグルはファクトを重視する一方、その背景にある文化的な文脈を無視している」と、同社の手法を批判する声も出ている。

   問題が指摘されているのは、「グーグル・アース」に06年11月に追加された機能。ここ数年に撮影された衛星画像の上に、1680年から1892年にかけて制作された世界中の古地図を重ねて表示できるというもの。地図を提供したのは米地図収集家のデビッド・ラムゼイ氏で、同氏はこの25年で15万枚の古地図を収集。スタート時点では、そのうち16枚がグーグルに提供された。

   日本国内については、東京や京都、大阪など、現在では少なくとも7種類が表示可能だ。

参院委員会でも問題化

「グーグル・アース」では、衛星写真の上に古地図を重ねて表示できる
「グーグル・アース」では、衛星写真の上に古地図を重ねて表示できる

   09年3月17日の参院法務委員会で民主党の松岡徹議員(比例代表)が、古地図に「穢多(えた)村」との地名が記載されていることを指摘したのだ。「穢多」とは、かつての被差別階層を指す蔑称で、現代では、通常は公には登場することのない言葉だ。

   松岡議員は、

「例えば古地図にあります穢多村、被差別部落、今のところね、出ています。東京では被差別部落は行政的に『ここがそうだ』というふうに地区指定していませんですから、なかなか分かりにくいんですね。しかし、古地図と合わすと分かってきているんですね」

と、古地図から、かつて被差別部落だった場所が特定されてしまうおそれを指摘。「部落解放同盟中央書記長」という肩書きも持っている松岡議員は、さらに

「グーグルがどういう意図でこのサービスを始めたのか分からないが、この状態は、人権侵害につながるのではないか」
「例えば第二の(被差別部落の場所を記した)地名総鑑のように差別的に扱われる可能性がある」

などと訴えた。これに対して森英介法相は

「今初めて聞いたお話ですのであきれかえっております」
「こういう問題があるということを重く受け止めたい」
「とても看過できない出来事」

などとで答弁した。

   国会で問題化して以降、問題の地名は「グーグル・アース」の地図から削除されたが、部落解放同盟ではグーグルに対し、サービスがこの問題に与える影響を認識し責任を持つように求める「要望書」を送付。同同盟によると「回答待ち」の状況だという。

   国内のメディアは部落差別に関連する用語について修正したり削除するなど、差別を助長しないよう配慮するのが一般的だ。ワープロの変換ソフトでも、1回で変換できることは皆無だと言って良い。

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