運用の基本は「安全運転」 大学は「投機」やめるべきだ 
(連載「大学崩壊」第4回/「早稲田のゴーン」關昭太郎さんに聞く)

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「そんなことをしたら、自分の子どもが大学からいじめられる」

――状況を改善するには、何が必要なのでしょうか

關:    イノベーションです。企業社会とまったく同じです。そのためには、
1. どのような仕事をしているのか棚卸しをすること
2. その中で、効率的に仕事ができているか調査すること
3. 予算の執行状況をチェックすること
が必要です。大学では「もらったらもらいっぱなし」の悪しき慣習が続いていたんです。財政悪化の根源を調べるため、収入と支出を見直すことが重要です。
   strategy(戦略)、 planning(計画・立案)、operation(運用)、result check(結果の検証)という一連の流れが重要です。こうした教育の「エンジニアリングシステム」が必要で、これで、大学の評価が上がり、学生一人ひとりに対し多くの付加価値を与えることが出来るのです。

――情報公開の重要性も強調していますね。

關:    3年ほど前に公益法人に対して(官と民で、どちらが競争力があるかを競争入札で問う)「市場化テスト」というものが行われました。大学についても、同じようなことを行うべきだと思っているんです。国立はもちろんのこと、私立についても、税金を受け取っている訳ですから、ステークホルダーのためにも、市場化テストが必要だと思います。
   大学側からは「補助金が足らない」という声があがっていますが、とんでもないことです。「まず隗より始めよ」で、自分たちの状況を振り返って、どのような経営努力をしているのか、情報公開・開示することの方が先。補助金・交付金を無駄に使っていないかをチェックすることが必要です。税金から支払われている訳ですから。状況を、ちゃんと見届ける必要があるんです。市場化テストの上、競争的アウトソーシングを徹底的に導入することが大事な時代です。

――米国の大学経営から学ぶべきことはありますか。

關:   米国の大学では、ステークホルダーの参加を望んでいます。ステークホルダーが黙っていると、変化を起こせない。ところが、日本のステークホルダーはモノを言いません。「母校がひどいな。なんとかして欲しいな」と思っていても、何も発信しない。これは良くない。私の講演を聴いた人からアドバイスを求められて、
「学校の広報なりに、意見を言うべきだ」
と伝えたら、
「そんなことをしたら、自分の子どもが大学からいじめられる」
という答えが返ってきたんです。驚きましたね。そういう発想で、大学の改革なんてできません。ステークホルダーに刺激してもらわないと、教育は良くなりません。黙っているのは無責任です。一部の人達をのぞいて、教育に関心を持たない人が多い。これは由々しき事態です。国造りの基本は教育、特に大学教育にあるということを強く申し上げたい。
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