池田信夫さん「日本人の多くが『希望がない』と思っている」
渡辺千賀さんのブログ日記は刺激的なだけに、コメント欄やほかのブログでも賛否両論が相次いでいる。
アルファブロガーとして知られる小飼弾さんは、自らのブログ「404 Blog Not Found」で、「よくぞ言って下さいました」と賞賛した。自らの海外体験があったからこそ自信が持てたとし、回りもそうだと述べて、「海外を知らないと日本に留まる資格もない」ようになりつつあるとしている。自分ではなく日本に希望している人が多すぎるから逆に日本に希望がないとも指摘し、「もはや日本を支える人材を、日本国内だけで育てることが無理」と断言している。
一方で、渡辺さんの日記内容について、反発するブロガーもいる。
ソフトウェアエンジニアの北山朝也さんは、自身のブログ「フューチャーインサイト」で、「立派な志だと思いますが、はっきりいって大きなお世話ですよね」と漏らした。北山さんら20代後半の世代は、高齢者が増えたために割を食っているとしながらも、「勝つ」ことよりそんな社会を誇りを持って支える「撤退戦」も選択肢だとした。
渡辺さんに近い考えは、経済学者の池田信夫さんが、自らのブログですでに述べている。反響が大きかったという2009年4月19日のエントリー「希望を捨てる勇気」だ。池田さんは、「2ちゃんねるで書き込みが今も続いており、私の話に『けしからん』ではなく、『その通り』みたいな反応になっています。日本人の多くが『希望がない』と思っており、なかなか深刻ですよ」と言う。
ただ、渡辺さんが海外で働くよう呼びかけたことには、「留学はごく一部の人たちの特殊な解決策でしかなく、国民の大部分には解決になりません」と懐疑的だ。そのうえで、池田さんは、日本悲観論の主な要因は政治だと説く。
「正社員と派遣などとの格差固定は深刻で、若者にとって会社は、かつてのようなコミュニティではなく、既得権を守るクラブでしかなくなっています。新卒で就職できない若者が増え、身分保障されていない人が近い将来、多数に上る恐れがあります。しかし、政府は、相も変わらずバラマキ政策を続けており、必要な雇用対策を打ち出していません。日本経済がよくなるいい材料がなく、国民は、大変なことになると思い始めています。マスコミも景気対策に批判的になったのは、これまでなかったことですよ。投資は先行きの見通しでするものなので、未来への確信がないと、経済は立ち直りませんね」