最高学府はバカだらけ この現実どうするのか
(連載「大学崩壊」第1回/大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんに聞く)

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AO入試は、推薦入試の「隠れ蓑」

――AO(アドミッションズ・オフィス)入試の問題点が指摘されることも多いですね。

石渡:   日本で最初にAO入試を導入した慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のような、一定レベル以上にある大学であれば、「ユニークな学生を取る」という意味で、それなりの意味はあると思うんです。ただ、いわゆる「準難関」と呼ばれるレベル以下の大学では、AO入試は、推薦入試の「隠れ蓑」になってしまっています。文科省は、入学者に対する推薦入試合格者の割合を50%以下にするように制限しています。ただ、大学側が「AO入試は推薦入試ではない」と言い張れば、「50%制限」にひっかからないんです。
   いわゆるペーパーテストを課さないので、試験としては簡単です。しかも、入試を行う時期に制限がない。青田刈りも可能なんです。

――実際のところ、「AO生は一般入試組よりも質が低い」ということでしょうか。各大学の状況はいかがでしょうか。

石渡:   東北大や九州大(21世紀プログラム)などの一応成功している大学では、成果をオープンにしていることが多いのですが、失敗しているところでは、情報公開しないですね。AO入試と言っても、大学によって全然違います。ですから、芝浦工業大や東京理科大、マーチ(明治、青学、立教、中央、法政)・関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)クラスの「準難関校」であれば、一応、入試として機能はしていると思います。日東駒専(日大、東洋大、駒沢大、専修大)あたりだと、機能しているのか「ザル」なのか微妙なところ。それ以下は、面接をするだけの「ザル入試」です。
   また、推薦入試について触れるとすれば、これまでは、あくまでも指定校推薦、つまり、大学側が高校を信頼して「枠」を与えるというものが中心でした。ところが、大学側と高校側の力関係が逆転しているケースが続出しています。大学の担当者が高校に営業に行くと、「で、おたくはいくつ枠をくれるの?」となってしまうんです。もっとも、枠をあげたところで、実際にどれくらいの学生さんが入学するかは分からないのが厳しいところですが…。
   それ以外にも「公募推薦」と呼ばれる入試をする大学も多いですし、「全高校を指定校推薦の指定校にしてしまう」という荒技に走る大学もあります。推薦入試を出張でやる大学もあります。何でもアリになってしまったんです。
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