個人株主のつなぎとめは「業績向上」で
制度廃止の傾向は2008年ごろから強まっていた。日興アイ・アールの調べでは、国内上場企業約4000社のうち、08年9月末時点で株主優待を実施していた企業は1091社で、同3月末と比べて19社減っていた。
JASDAQに上場し、2008年1月に優待制度を廃止した日本トイザらスは、「業績への貢献度も薄く、株主価値の最大化に向けて有効なプログラムとはいえない」と判断。09年1月期も実施を見合わせ、「再開する予定はない」(広報担当者)という。
制度廃止の先駆けともいえる同社だが、株主優待にかかっていた費用は1回3億円(当初は年2回実施していた)。その費用を現在は広告宣伝費にまわしている。廃止の効果はなかなか測りづらいが、「個人株主に長期保有を促したい思いはあるが、それには業績向上で応えていくしかない」と語る。
4月20日には東証2部に上場する西川ゴム工業が優待制度の中止を発表。中止しないまでも、ギフト券の金額を下げたり、贈呈品を見直したりとコスト削減の動きは続く。日本トイザらスのように、本業重視で「配当政策に振り向ける」という企業もある。
いずれにしても、優待制度が再び盛り上がるには、企業の業績回復を待つしかないようだ。