テレビ番組の「NHK一人勝ち」が指摘されるなか、大手企業社員による興味深いアンケート結果が出た。金融・運輸・自動車など大手企業が「優良放送番組推進会議」(委員長・有馬朗人元文相)と呼ばれる団体を設立し、会員企業の社員に対して、報道番組についてのアンケートを行ったのだが、堂々の1位に輝いたのはテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」。アンケートに答えた企業のほとんどが東証1部上場で、いわば「財界からの通信簿」といえ、経済情報に強いとされる同番組が、高評価されるのも当然だ。
上位5位のうち3つをNHKが占めている
「推進会議」では、「優良な番組を推挙することが放送番組の向上に有効な手段の一つ」として、月に1回のペースでアンケートを実施。第1回目の結果が、2009年4月28日に発表された。今回のアンケートでは、会員企業の社員430人が、事前にノミネートされた報道番組37番組(4月1日~7日放送)の中から、任意でいくつか番組を選択。その上で、番組を5段階(3、2、1、0、マイナス)で評価する仕組みだ。全部で5296件の回答が集まった。番組ごとに寄せられた平均点をランキング化したところ、意外な結果が出たのだ。
平均点1.84点で1位に輝いたのが、ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)で、2位以下がクローズアップ現代(NHK、1.83点)、週刊こどもニュース(NHK、1.61点)、サンデーモーニング(TBS、1.59点)、NHKニュース7(NHK、1.59点)と続く。
上位5位のうち3つをNHKが占めているのが目立つが、「NHK一人勝ち」が指摘される最近の状況からすると、驚きは大きくないとも言える。むしろ、テレビ東京からは3番組しかノミネートされていないことを考えると、やはりWBSの躍進ぶりが目立つ。
同番組には
「企業・経済情報が充実」
「他のニュース番組との差別化が明確」
「(新製品を紹介する)『トレンドたまご』のコーナーがユニーク」
との評価がされており、特に40~50代男性(平均点1.97点)と20~30代女性(同1.93点)からの評価が高い。
「報道ステーション」ランキングは13位
もっとも、今回のアンケートに回答した企業26社のうち、「相互会社」という形式をとっている第一生命と非上場の森ビル以外の24社は、東証1部上場。キヤノン、トヨタ、パナソニック、東京電力などの日本を代表する企業ばかりだ。
WBSが視聴率ランキングに顔を出すことは皆無とも言える一方、経済情報の比重が高いと言われるだけに、これら企業との親和性が浮き彫りになったとも言えそうだ。まだ、アンケートに回答した26社のうち、三井不動産は、8社あるWBSのスポンサーの1社でもある。
また、4位にランクインした「サンデーモーニング」は、
「コメンテーターのバランスが良い」
「1週間の出来事がうまくまとまっている」
といった点がうけており、40~50代男性(平均点1.88点)と60代以上の男性(同1.86点)から高評価だ。
一方、視聴率ランキングでは「常連」とも言える「報道ステーション」(テレビ朝日)は、評価は高くない。同番組は、視聴率ランキング(09年3月30日~4月5日・関東地区・ビデオリサーチ調べ)では「報道」の部では5位だったが、今回発表されたランキングでは13位。ところが、「回答者数順位」と呼ばれる「アンケートの回答対象として、どれだけ多く選ばれたか」をランキング化したものでは、WBSと「おはよう日本」(NHK)に続いて3位。「広く認知はされているもの、あまり推薦したいとは思われていない」という、「報ステ」に対する評価が浮き彫りになった形だ。
なお、第2回目のアンケートは、ドキュメンタリー番組15番組が対象になるという。