「マスク」に関係なくても買われている
新型の豚インフルエンザに大流行の兆しががあるなかで、「マスク」の需要は大いに見込まれる。若い女性をターゲットに発売したピンクのマスクにシールを飾れる「デコりマスク」で業績を伸ばした、マスク製造の川本産業(東証2部)の株価も前日比10円高の480円。豚インフルエンザ報道の第一報があった4月24日と比べると、わずか3営業日で130円も上昇した。
しかし、前出の証券アナリストは「ここ数日は『紡績』の名前だけで買われている。手元資金が短期的に流れ込んでいるにすぎない」と、一過性の動きとみている。
日本はインフルエンザが流行する冬を越したばかりで、マスク需要は落ちる季節に入っている。ある繊維大手も、「ちょうど品薄になるタイミングでの新型インフルエンザなので、特需ではないかと余計に注目された」と推察している。
大阪に本社を構え、東証1部・大証1部に上場するトーア紡コーポレーションの4月30日の株価は前日比30円高の91円。「ストップ高だったので、株主から何か発表したのかといった内容の問い合わせが殺到した」(総務部)という。
「マスクは需要が限られていることもあって、伸びる商品とは言いがたいですね。いまは『マスク=繊維』というだけで急騰しているだけなので…」と、胸中は少し複雑なようだ。