衆院議員の河村たかし氏(60)が、テレビの討論番組などでの圧倒的な知名度を生かして他候補に大差を付けて名古屋市長選の初当選を勝ち取った。河村氏がマニフェストに掲げていたのが、「市民税10%減税」。仮にこれが実現した場合、市の歳入は236億円減少することになるのだが、市役所からは、「かなり厳しいのでは」と、早速困惑の声があがっている。
まず減税、その上で無駄使いを根絶
松原武久前市長の任期満了を受けて2009年4月26日に投開票された名古屋市長選では、民主党の推薦を受けた河村氏が過去最多の51万票を獲得。自民愛知県連と公明愛知県支部が支持する元中部経済産業局長の細川昌彦氏(54)に大差を付けて当選した。河村氏の圧倒的な知名度が生かされた形だ。さらに、与野党による「相乗り」が崩れたのが1981年以来ということもあり、前回は27.50%だった投票率は約2倍の50.54%にまで上昇。市長選に対する市民の関心の高さを裏付けた。
「当確」を受け、選挙公約として掲げていた「庶民革命で市民税10%減税」を改めて宣言してみせた河村氏だが、今後、様々な波紋を呼びそうなのだ。
河村氏がマニフェストにかかげた3つの柱のうち、1つ目が「日本一 税金の安い街 ナゴヤ」。マニフェスト本文には、
「日本初の市民税減税をして、市民の生活を支援するとともに消費を刺激する」
とある。
名古屋市の09年度の一般会計予算によると、9908億円ある収入のうち、市民税による収入は2360億円。「10%減税」を実行したとすると、減税額は236億円。名古屋市の人口は約225万人なので、市民1人あたりにすると、減税額は1万500円。逆の見方をすると、市の収入のうち、2.4%が失われる形だ。
財源としては、マニフェストによれば
「まず、減税して、全体の予算を決めた上で無駄使いを根絶。今までの政治は順序が逆でした」
と「無駄使い削減」を当て込んでいる様子だが、具体的に、どのようにして財源をひねり出すのかは不透明だ。