メキシコで猛威をふるう豚インフルエンザについて日本化粧品工業連合会(JCIA)は2009年4月28日、同会の「新型インフルエンザ対策ガイドライン」に基づき、販売員が頻繁に「手洗い・うがい」をするよう、会員各社に要請した。感染防止のため「マスク着用」も検討する。客にメイクを施す際、手や顔に直接触れる機会も多いからだ。
販売員が客の手や顔に直接触れる機会も多い
日本化粧品工業連合会は「新型インフルエンザ」の発生に備え、対策ガイドラインを2009年4月16日に策定し、4月28日、その一部を実施するよう会員に要請した。
メキシコで100人以上の死者が出ている豚インフルエンザは、アメリカ、カナダ、欧州でも感染が確認されている。
国立感染症研究所によると、感染経路はくしゃみやせきを通じての飛沫感染だが、インフルエンザウイルスの付着した物に触り、その手で口や鼻を触ることによって感染することもある。
百貨店や化粧品専門店で販売員が客にメイクを施したりして、手や顔に直接触れる機会も多く、万が一、感染した客に触れた手で他の客を接客すると、感染が広がる恐れがある。 そこでJCIAは「お客に感染を広げない」「事業活動を感染源にしない」を柱に、以下のガイドラインを定めた。
第3国で新型インフルエンザが発生した場合を「接客予防モード」と定め、(1)頻繁に「手洗い・うがい」をする(2)感染防止のため「マスク着用」(3)実技を伴う接客行為の自粛(4)使いまわしの化粧用具の使用禁止の4点を販売員、取引先への営業担当者に要請する。
また、日本国内で発生し、感染率や死亡率が高いと判断した場合、接客活動を自粛するほか、取引先への面会営業を極力控える。政府の「小康宣言」(患者の発生が減少し、低い水準で留まっている状態)が出るまで続ける。
JCIAはガイドラインのうち(1)の手洗い・うがいを4月28日に会員各社に要請。今後、感染の広がり次第で、マスクの着用も要請する。
花王、カネボウ、コーセー「対策を検討中」
花王とカネボウ化粧品は社員の海外出張を禁止することを決めたが、接客についての対策は検討中だ。
「感染が拡大すれば、JCIAの方針に乗っ取って最大限の予防措置を取ることになると思います」(花王)
「手洗い、うがい、マスクの着用を検討しています。お客さまに触れる機会が多いので、気をつけなければならないと思っています」(カネボウ化粧品)
一方、コーセーは
「今まさに検討会議を行っているところです。すでに用意している鳥インフルエンザ用の対策を応用することになると思います。豚インフルエンザの感染ペースは速いようなので、国内で確認されればすぐに対応できるよう、準備していなければなりません」
としている。