豚インフルでも治療薬のタミフルが効く
理化学研究所の永井センター長によると、ワクチンは、製造できれば豚インフルに効くことが期待できるという。ただ、感染者が出たアメリカでは、死者や重症者はまだ確認されておらず、WHOがフェーズ3に据え置いたまま収束する可能性がある。日本で感染者が出ても、軽症のウイルスで終わるかもしれない。
その場合、通常のワクチン製造を犠牲にする理由はなくなる。また、もし軽症者ばかりの状態でワクチンを打てば、悪影響も出てくるようだ。
「数十%の人が死ぬような状態なら、1万人に1人、難病などの副作用が出てもやった方がいいでしょう。しかし、軽症のウイルスの場合は、ワクチンを打った方がよいかは疑問が残るでしょうね」
永井センター長によると、豚インフルが発症した場合は、治療薬のタミフルが効くという。ただ、耐性ウイルスの可能性があり、永井センター長は、「薬剤は、一つの選択肢だけではダメで、なるべく種類を多くする必要があります。日本では、薬の開発が進んでいるので、むしろそちらの方に力を入れるべきでは」と指摘する。
豚インフルの流行にワクチンが間に合わない可能性について、厚労省の結核感染症課では、こう説明する。
「確かに、その可能性はあります。しかし、もし承認を受けている製造方法が可能なら、製造期間を短くすることができます。また、流行は、第1波で済むとは限りません。第2、3波があることも考えられます。そのためにワクチンは必要になります」
また、季節性インフルのワクチンは2009年3月から製造しており、今後も分量が減ったとしても製造しないわけではないという。