「解散風」がすっかり吹きやんだかのように見える中、週刊誌各誌が相次いで「議席予測」を掲載している。一時期は「墜落寸前」ともされてきた支持率が上向きに転じていることもあって、各誌とも、年初の特集と比べると、総じて「自民復調」ぶりが浮き彫りになっている形だ。
年明けの予測では民主圧勝が大半
麻生内閣の支持率の低迷が続いていた年明けの週刊誌誌面を見ると、「政権交代は目前」とも思えるような議席予想記事の見出しが並んでいる。
「麻生自民『解党』 民主不動の『280議席』確保」(週刊文春、1月15日号)
「民主完勝。自民バラバラで『政界リセット』」(週刊朝日、1月23日号)
といった具合だ。
衆議院での自民・民主の現有勢力は、それぞれ304、112議席なのだが、例えば文春の記事では、自民党が148議席と半減する一方、民主党は約2.5倍の280議席を獲得すると予測。週刊朝日の記事は、これほどの「大激震」ではないにしても、2人登場した評論家は、自民。民主の獲得議席数を、「192、223」「171、249」と予測。週刊現代の2月14日号にも、評論家が3人登場し、「202、224」「214、211」「176、245」と予想していた。衆院の定数は480(2名欠員)なので、民主党だけで単独過半数を獲得できると予測している識者が、相当数いた、ということが分かる。
ところが、小沢代表政策秘書の逮捕・起訴にともなう小沢代表の「辞任騒動」や、「ばらまき」との批判がある定額給付金の給付が始まったことで、情勢が変わりつつある。
いずれも、自民党の議席を大幅に上方修正
週刊朝日(5月8日号)と週刊現代(5月2日号)は、およそ3か月ぶりに議席予測を掲載。登場したのは両誌とも前回特集と同じ評論家なのだが、いずれも、自民党の議席を大幅に上方修正しているのだ。
具体的には、週刊朝日の2人は「220、195」「203、217」と修正。週刊現代の3人は、「208、224」「222、197」「206、213」といった具合だ。
予測の修正幅にはバラつきがあるものの、自民党の獲得議席数が上方修正されたという点では共通している。中には、「自民30増、民主30減」という修正をした人もいる。
この背景には、大型補正予算で工事が始まったことの効果や、民主党が事件対応にモタついたことが影響しているとみられている。
だが、自民党に追い風が吹き始めたといっても、05年の「郵政選挙」ほどの大勝は見込めるはずはなく、3分2での衆院での再可決ができなくなる可能性が非常に高い。これまでに増して厳しい議会運営を迫られることになりそうだ。
一方、仮に民主党が政権を取った場合でも、単独過半数の獲得は絶望的なため、社民党などの野党の協力を仰ぐ必要がでてくる。そうなると、年金・防衛問題などで、思い切った政策をとることが難しくなる可能性もありそうだ。