夏場すぎまでは「50ドル前後」でもみ合い?
順調に回復基調にあった原油価格が「頭打ち」なのは、世界的な景気悪化が影響している。日本では、原油価格の上昇がすでにガソリン価格などに跳ね返っている。石油情報センターの調べでは、4月に入ってから毎週1円のペースで上昇。4月20日時点では、全国平均で115.1円になった。
石油精製会社などは価格上昇を背景に株価を伸ばすが、景気の後退色が強まる中で、あまり急上昇するとガソリンをはじめ石油関連商品までも価格が上がり、いまの景気悪化をさらに深刻化させることにもなりかねない。
原油価格の高騰が景気悪化をもたらす恐れがあるのは日本だけではない。世界経済に冷や水を浴びせることになりかねないので、「米国寄りのサウジアラビアは、価格上昇を抑えにかかるだろう」(前出の下地氏)という。OPECのエルドバリ事務総長も、「われわれは1バレル50ドルならば、なんとかやっていける」とも話している。減産体制を敷くOPECだが、「(価格を)上げたいが、上げられない」というのが本音なのかもしれない。
KFTの下地氏は、適正な価格水準を1バレル=50~60ドル程度とし、今後の見通しを「夏場すぎまでは1バレル50ドルあたりでもみ合う展開になる」と話す。70ドル、80ドルといった上昇ムードは「長続きしない」と予測する。