枝川二郎の「マネーの虎」
15兆円の追加経済対策は大した効果が望めない!

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景気回復には減税しかない!

   もし、いまカネを使うのであれば、減税をすべきだ。法人税率を下げれば投資も活発になるし、雇用にもプラスに働く。お役人よりも企業のほうがカネを有効に使うので経済効果も高い。オバマ大統領の経済対策ではかなりの部分が減税にまわされているが、それはその点をちゃんと認識しているからだ。

   いまの日本の状況を病人に例えると、重篤なガン患者というほどではなく、周囲の環境の急変により風邪をこじらせたといったところ。そんな時にカンフル剤やモルヒネを打つのは「百害あって一利なし」だ。きちんと栄養と休息を取らないといけない。

   政府としては、いかにして長期的な経済成長が可能になるかという一点から政策を考えるしかない。長期的な効果がないものは意味がないし、株価にもプラスにならない。

   ところが政府は、年金や地球温暖化の議論では「子孫を守るためには、いまの生活を犠牲にしてもやむを得ない」と言うのに、景気対策については「財政赤字は気にせずカネをどんどん使え」と言っている。

   全体としてどういう方向に経済のかじ取りをしようとしているのか、まったくもって理解し難い。


++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。


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