中国経済の「復活」に後押しされた形で、ホンダの業績が回復傾向になってきた。2009年3月期の連結営業利益は1500億円前後とみられ、従来予想と比べて減益幅が100億円程度縮小したもようだ。自動車の販売不振が世界的に深刻化するなかで、09年2月には中国での生産台数がプラスに転じた。欧州向けの輸出も2月実績で11か月連続増えている。
中国向けは2月としては過去最高
ホンダが予想した09年3月期連結業績は、本業のもうけを示す営業利益(米国会計基準)で1400億円だった。同社の決算発表は4月28日の予定だが、同22日付の日本経済新聞によれば、連結営業利益は1500億円前後になるとみられ、減益幅は100億円程度縮小する模様だ。
減益幅についてホンダ広報部は、否定も肯定もしておらず、正確な数字はともかく、早くも下げ止まりの兆しが出ているようだ。
ホンダの業績に中国経済がプラスに働いていることは確かだ。3月に発表した2月度の生産実績では、国内生産はもとより欧米で減少。アジアも中国を除いて減少した。
中国の2月実績は、5.7%増の3万4936台で4か月ぶりに増加に転じ、2月としては過去最高だった。これについて、ホンダは「中国政府が実施している減税措置の効果で、販売が伸びている」と説明している。
買い替え制度の後押しもあり、欧州は輸出で対応
ドイツやフランスなどの欧州も、新車の買い替え時の補助金や税金の減免制度によって自国の自動車産業の支援に乗り出している。
ホンダは09年2月から、新型ハイブリッドカー「インサイト」を投入。国内では発売約1か月で受注台数が1万台を突破する人気で、このインサイトの欧州向け輸出を、国内の販売開始後すぐさま始めた。
輸出も米国やアジアは軒並み減少しているが、「欧州は現地生産を休止していることもあるので、(輸出を)増やしている」(広報部)。欧州の新車買い替え制度に乗って、インサイトの「快走」を期待している。
円安効果もある。08年3月の為替相場は円高が進み、1ドル=100円前後。多くの企業が換算レートで1ドル=115円程度を想定していた。この水準でも「慎重」といわれていたなかで、ホンダの換算レートは1ドル=114円と、さらに慎重にみていた。
現在、1年前とは比較できない円高水準ではあるが、ホンダは09年1-3月期の換算レートを1ドル=85円に想定していた。しかし、実際はそれよりも円安の1ドル=94円前後で推移したことで、1-3月期だけで約200億円の利益を押し上げる効果があったとされる。ユーロも想定よりも円安に振れたことが結果的によかった。