面接官からの言葉に傷ついている――。就活の時の憤りを書き込んだこうした記述が、ネット上で話題になっている。この不況下、企業側は採用者数を絞り込むために高飛車になっているのだろうか。
「圧迫面接」で理不尽さへの対応を見ている?
話題になっているのは、読売新聞が運営する人気掲示板サイト「発言小町」に2009年4月17日に掲載された意見だ。「面接官からの言葉に傷ついています」と題した記事によると、就活中だという投稿者は面接時、web性格診断の結果を見ながらこう言われたという。
「田舎の秀才に多い自意識過剰の高飛車女だな」
「何でもできると思っているんだろう。自信満々だな」
「生涯賃金三億払う価値無い」
「人格欠落人間だな」
この女性は面接途中で泣きそうになったとこぼす。web性格診断はそれほど正確なのか。面接官は厳しいことを言われたときの対応を見ていただけなのか。こう邪推するのは自分の社会性の乏しさから来る不満なのか――ひどく気にしているようだ。
これに対して、コメント欄では大きく分けて(1)面接官はひどい、失礼だ(2)「圧迫面接」のため、理不尽さにも対応できるかを見ている――概ねこのどちらかだ。もっとも、学生の打たれ弱さを指摘する声もある。どちらにしろ、深く気にしたり、必要以上に落ち込んだりする必要はない、軽く受け流そう……そんな励ましが寄せられた。
だが、「今は買い手市場なので、企業側は高飛車です」という書き込みもある。この不況下、企業側も採用数を絞っていて、本当に欲しい人材だけを選ぶ。そのため、高飛車になっているのでは、という見方だ。書き込んだ人はこう続けている。
「いわゆるオジサン層は、言葉を非常に無神経に使います。冗談でも、注意でも。就職して、それにイチイチ傷ついたの、訴えるだの言われてはたまりません。なので、面接でイジメてみて、ヘコたれない人を採用したいのです」「適当にいなす(スルーってやつ?)ことも覚えたほうがいいと思われます」
中には面接官の態度に「キレ」てしまった人も
こうした圧迫面接に対する不信は、Q&Aサイトの「ヤフー知恵袋」にも書き込まれていた。「今の就職活動って買い手市場ということもあって、面接は圧迫的なんですか??」(2009/4/12)と書き込んだある会社員は、がっくりと肩を落として帰る学生に同情。「私が就活時、圧迫的だったり意地悪さを感じた企業は今でも覚えてるし、内定もらっても良いイメージは持てませんでした」と書いている。
また、「君たちはゆとり教育だから、どこの会社の人事もいらない」と言われたとか、人を小馬鹿にするような態度には腹が立ち「自分の存在を全否定された気分でした」などと述べるものもあった。中には、売り言葉に買い言葉、面接官の態度に「キレ」てしまったという人までいた。
就職生のための就活情報サイト「就活ブレイキングニュース」の代表・田中匠身さんは、「前年との単純な比較はできないが、学生さんの話を聞いていると、圧迫面接の話題が増えているように感じる」と話す。
「圧迫面接で企業側はストレス耐性をみています。採用者数が絞られている現状では、少ない採用人数の中でミスが許されない――ストレス耐性を見極めることは最重要ポイントなのです。また、入社後のミスマッチを減らしたいこともあり、打たれ強い人を求めています。その見極めのために、圧迫面接が広く用いられているのでしょう。しかし、それにしても人格否定まではやりすぎのように思います」
もっとも、田中さん自身は「圧迫面接は好ましくない」と考えている。中途採用では圧迫面接はない。新卒に関しては企業側が圧倒的に強く、両者の関係は正常ではないと指摘している。