埼玉県鶴ヶ島市の藤縄善朗市長がブログで、市議会の会派「いずみ会」にかみついている。「いずみ会」の会報に掲載された内容について、市長は「あきれるほど無知」などと強く反発。一方、この記述に「いずみ会」側も、ブログでのこうした批判は議員活動を阻害する、と反論している。
「ウソで塗り固められた、しかも無責任な表現」
鶴ヶ島の藤縄善朗市長がブログ(2009年4月1日)で問題にしているのは、鶴ヶ島市議会議員でつくる「いずみ会」が出した会報だ。会報には、鶴ヶ島市が2008年秋からすすめはじめている「地域ICT利活用モデル構築事業」に関して、市長と親しいという民間企業の社長が市の嘱託職員となり、かつ、新たに立ち上げた第三セクターの社長となったことに疑問を呈した。この第三セクターには監査役がなく、チェック機能が働かないのでは、などとした。
これに対して、藤縄善朗市長はブログで、市長と第三セクター社長が「国からの委託料約1億円を不正に私しようとしているかに書かれている」としたうえで、「3流の週刊誌と見まごう、ウソで塗り固められた、しかも無責任な表現に心底、怒りを覚えた」と憤っている。
「もしも本気でここに不法、不正が認められるのなら、はっきりとそう書けばよい。ところが小ずるいことに、巧妙にごまかすのだ。例えば見出しに大きく『・・・総務省から委託経費1億円の事業に【疑義】』など書いてある。(略)アヤシイと思うなら、『疑惑』とでも書いたらどうだ。すぐに告訴してあげよう。いや、『疑義』でも告訴できるのかどうか・・・。あるいは、『~と考えられる。』などとごまかす。小賢しく、またあまりに小汚ない」
さらに、藤縄善朗市長のボルテージは上がり、「いや、彼らを『嘘つき』と言っては、酷かも知れない。単なる無知とも考えられる。本当に、あきれるほど無知なのだ。そうした人たちが、議員になっているのだ」「いや、それもあるいは間違いだろうか。本会議でいびきをかいて睡眠をとり、委員会でも自分の資料を大きな音を出して落しても気がつかないほど熟睡している議員だ。『聞いていない!』と強弁するのも無理はない。だって、寝ているんだもの! わかるわけがない」と述べた。
「いずみ会」側は議員活動を制限されてしまう、と主張
これを受けて、「いずみ会」の代表・近藤英基さんは、「嘘つき」「単なる無知」などと書き連ねた市長のブログを「名誉毀損だ」として、議会で謝罪を求めたいとしている。「会報では政策に対する疑問を書いた」という近藤さんは、J-CASTニュースに対して、こう話す。
「一つの意見、疑問として市民に知らしめるのが議員活動の一環だと思っています。それを『ウソで塗り固めた』などとブログで書かれてしまいますと今後、議員活動を制限されてしまうことになるのでは、と思うのです」
一方、藤縄市長はJ-CASTニュースに対し、
「第三セクターの設立に関しては2008年9月に決まり、これまでも説明も続けてきたことで、事実無根。議論も尽くしてきたはずです。また、市の事業ですから監査が入るのは当然です。もっとも、本格的に批判してくるならまだしも、一部で都合のいいことを言うのはどうか。事実を積み重ね、責任を持って発言するべきではないか」
と話す。さらにこうも反論する。
「第三セクターの社長は、ほとんどただ働きに近い状況です。面白い事業だ、新しい街作りやコミュニケーションできると意気込んでいます。(会報の書き方では、)市のことを真剣に考えている人に対して、あまりに失礼。そして、いかにも疑惑があるかのように書かれたら、市民はどう受け取るか。これからはじめようとしている事業なのに、不利益になるのではないか」
ただ、会報の配布部数が50部で影響が小さいことから、これ以上は言及しないという。ブログでの表現については、確かに品格という点ではよくなかったかもしれない、と話している。