「好きな方が多い」と吉野家は販売継続
代用丼と呼ばれた「豚丼」は、これまでどんな売れ行きだったのか。
すき家を展開するゼンショーでは、売り上げなどは発表していないといい、「大事なメニューであり、売り上げの中で一定比率はありました」と言うのみだ。同じゼンショーグループの「なか卯」では、豚丼として「豚どんぶり」を販売していたが、オーストラリア産牛肉の使用で牛丼が復活したため、2005年10月で販売を終えている。
現在も豚丼を販売している吉野家では、BSE問題で牛丼がなかったとき、豚丼が主力商品になった。その後、様々なメニューが出たが、同社によると、牛丼不在の中でも、定番として一番多く売れていたという。
06年9月に牛丼が復活し、その後通常通りの販売に戻ると、売り上げはもちろん牛丼が圧倒的に。しかし、豚丼は、現在も牛丼に次ぐ2番手の売り上げになっている。
「味があっさりしていて、食べやすいという声をいただいています。牛丼よりも50円安いのも人気の理由ですね」(広報担当者)
豚丼も売れば、コストはかかる。牛丼の単品に絞り込んだ方が無駄はなくなり、高い利益率も達成できる。しかし、今後も販売は続けるという。「豚丼が好きな方が多いからです。牛肉の輸入がまた止まったときに、リスク分散になるという考え方もありますね」
豚めしがメニューにある松屋も、販売を続けるとしている。それは、ある程度完成した味になったからだという。
「豚めしは、幾度となく改良して、今の味にたどり着き、受け入れられるようになりました。牛丼の代替品のイメージがあるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。値段がうちの牛めしより30円安いのも、魅力のようですね。牛めしが復活してから売り上げが減りましたが、今ではすっかり定着して牛めしの次の人気をキープしていますよ」