「読者も離れていく。いずれ休刊、廃刊もあり得るのでは」
事態が変化したのは4月7日。「実行犯」島村氏は各新聞、各週刊誌のインタビューに対し、「新潮がつくったストーリーに乗せられた、手記はうそ」と答え、「自分は現場には行ってない」「配下の若衆に襲撃させた」と証言をひるがえした。これについて新潮は、 「証言内容は島村氏のインタビューを録音したテープによって証明することができる」 と反論していた。
週刊新潮・早川清編集長は23日号で「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」という題で謝罪記事を書いている。「裏づけ取材の不足」を「騙された」理由に挙げ、「雑誌ジャーナリズムへの信頼を大きく傷つけてしまった」「虚言を弄する証言者の本質を見抜く眼力がなかった」と反省。「ミスリードによって結果的に誤報となった」「証言内容を『捏造』したわけでもない」などと「言い訳」し、休刊、廃刊に関しては否定している。
「『天下の大虚報』を流してしまったことに対し、新潮は社会的な責任を全く果たしていない。反省にも何もなっていない」
と新潮を糾弾するのは、月刊誌「世界」09年5月号で雑誌ジャーナリズムに警鐘を鳴らしていたノンフィクション作家の佐野眞一氏だ。何度もあった謝罪のタイミングを逃した末の、遅きに失した謝罪だと断ずる。
「虚報の責任という意味では新潮が『実行犯』であると言っても過言ではない。謝罪記事のタイトルも『週刊新潮はこうしてニセ実行犯と共謀して読者を騙した』というほうが正しかったのでは」
そして週刊新潮の今後についても、
「こんなもので世間は許さないでしょう。読者も離れていく。いずれ休刊、廃刊もあり得るのでは。週刊誌全体の低落傾向にも、今回の新潮はさらに拍車をかけてしまった」
と、厳しい見方だった。