「新卒はコミュニケーション苦手」の声も
新入社員研修では、情報収集力に力を入れているIT企業もある。
ポータルサイト最大手のヤフーは、2週間の日程内に、ネットで1年以内にはやるサービスを予想させる同社独自の研修を行った。同社では、130種類以上ものサービスがある。
「情報収集の大切さを気づくように促すためです。結果を出す楽しみを体験して、成長するきっかけづくりにしてほしい」
ヤフーの広報担当者は、その狙いをこう説明する。ビジネスマナーなども教えており、エンジニア職種は、ほかに技術研修を2か月近く行う。
独り勝ちとも言われるほど多くのユーザーを持つポータルサイトの巨人だけに、09年は、同社に244人もが入社した。「IT企業への入社意識の高い人が多いです」と広報担当者は言う。
勝ち組企業では、入社する学生の質も高いようだが、大不況下で、こうした企業はごく限られているのが現状だ。
新入社員研修などの事業を手かげているリクルートマネジメントソリューションズでは、企業の実情について、こう話す。
「各企業からは、若手がコミュニケーションを上手にできないという声をよく聞きます。推測ですが、少子化、核家族化などのほかに、ケータイメールのやり取りに慣れて人間関係が狭くなっていることも一因でしょう。それに対し、『コミュニケーションの基本をしっかり教えてほしい』と企業から要望が来ていますね」
このため、同社では、ビジネスマナー、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)などを基礎から学ぶオーソドックスな研修プログラムを主に提供している。
新入社員研修について、ある企業の広報担当者は、「全体的に学生の質が落ちて、ピリッとしないというので、昨年は、体育会系の厳しい研修に戻ったと聞いています。しかし、この大不況で採用が少ない分、新卒者は危機感を持って、能力向上に打ち込むのではないでしょうか」と話している。