「教育コストかかり、収益が厳しいなかで難しい」
看護師候補者は3年間、介護福祉士候補者は4年、滞在でき、その間に国家試験に受かれば3年ごとの更新で長期滞在が可能になる。しかし試験に落ちれば、帰国しなければならない。受験のチャンスは看護師の場合は3回あるが、実務経験を3年間積まなければ受験資格を得られない介護福祉士は、チャンスが1回きりだ。
「日本語の壁」も立ちはだかる。半年間の日本語研修を受けただけで実務に入り、日常会話レベルはなんとかなるかもしれないが、国家試験を受けるには読み書きのレベルが必要だ。受け入れた施設は、6か月の研修にかかる費用(1人あたり350~360万円)のうち1割を負担しなければならず、その後の研修もある。試験に落ちて帰国するとなれば、ドブに捨てたようなものだ。
介護事業大手のツクイは、今のところ受け入れていない。その理由について経営企画部の担当者は、
「長く働いてもらおうとして教育をしても、試験に落ちれば帰国することになります。教育のためのコストもかかりますし、収益が厳しいなかで難しいと思います」
と説明し、制度に問題があるという考えだ。
一方、厚生労働省経済連携協定受入対策室の担当者は、
「日本人の介護従事者が足りないから外国人を受け入れるのではありません。EPAに基づいた特例として受け入れたまでです」
と従来の「建前」を崩していない。