中古携帯電話の販売が伸びている。機種変更すると支払額がかなり高くなってしまうのに加え、不況による「節約」が後押ししているらしい。最新機種では、平均して4割ほど安くなるという。
「SIMカード」を差し込むだけで使用可能
中古携帯電話とは、解約済や機種変更でいらなくなった端末など、電話番号などの「契約情報」が登録されていない端末のことで、通称「白ロム」と呼ばれている。NTTドコモ「FOMA」や、ソフトバンクモバイル「Softbank 3G」など、現在主流の第3世代携帯電話で言えば、「SIMカード」と呼ばれるICカードが入っていない状態の端末だ。
「SIMカード」とは、書き換え不能な固有のID番号と、電話番号などの「契約情報」が記録されたICカードで、この「SIMカード」を端末に差し込み、認識させると、携帯電話として使えるようになる。日本では現在、端末と「SIMカード」の携帯電話会社(キャリア)は同じものでなければならない。
中古携帯電話販売店は、不要になった携帯電話端末を買い取り、個人データを消去した「白ロム」を販売する。ユーザーは機種変更したい場合、自分が加入しているキャリアの「白ロム」を購入し、カードを差しこむだけで使用することが可能だ(auの場合のみショップで手続きが必要)。「SIMカード」を所有していない場合は、購入した「白ロム」を各キャリアショップに持って行き、新規契約する。
最新機種では、平均して4割ほど安くなる
「昨年(08年)の10月に中古携帯電話を取扱い始めてから、販売も買取も、毎月数百台単位で増加していますよ」
というのは、中古品の買取・販売会社、イオシスの広報担当者だ。店を訪れる客は、機器が故障してしまった人や、とにかく安く機種変更をしたい人、短い利用期間で機種変更したい人が多いという。
また、中古のニーズが高まっている一因として、携帯電話販売方法の変化を挙げる。基本料を安くし、端末を高くしたため、機種変更の場合、以前と違い支払額がかなり高くなってしまうからだ。
例えば現在ある最新機種では、使用期間1年未満として、キャリアショップで機種変更すると8万円ほど。中古端末であれば4万9800円など、平均的に4割ほど安くなるという。
「客層は若い人からサラリーマンまで幅広く、法人で中古端末を一括購入していかれるケースもあります」
インターネット上でも取引は盛んなようだ。「ヤフー!オークション」でも「白ロム」の取引は目立つ。09年4月13日現在、「携帯電話本体」カテゴリの出品件数は約2万4500件。また、インターネットオークションの落札相場が検索できるサイト「オークファン」によると、各社のオークションで13日までの「最近30日間」に落札された「白ロム」は1万1105件にものぼっている。
今後の見通しはどうなのだろうか。前出の担当者は、こう意気込んでいる。
「昨今のエコブームから、端末のリサイクルが受け入れられている面もあるかもしれません。また総務省では、現在同じキャリアの携帯電話にしか使えない『SIMカード』を、どの端末に差しても使用できるようにするという『SIMロック解除』に向けての動きもあり、これが実現すれば、さらに市場は広がるかもしれないですね」