学生は「断片的な情報を近視眼的に頼る」
確かに学生が企業イメージや報道に流される傾向は強い。以前の調査でも、トヨタ自動車が初めて1位を獲得した02年は、同年3月期決算で経常利益1兆円超を達成するなど好調さが伝えられていた。翌03年は6位に順位を落とすものの、04年には純利益が1兆円を超えると報じられ、再び1位に返り咲いている。また、金融業界再編でメガバンクが誕生した06年の調査では、東京三菱銀行(前年の05年52位)と、101位以下だったUFJ銀行が合併(06年1月1日)した三菱東京UFJ銀行が、一気に6位まで順位を上げている。
「成功就活50のルール」の著書があり、「就活力アップセミナー」で講師をしている二瓶正之さんは、今の学生は入手する情報量が多く、情報感度は鋭い反面、「リアル」の世界が狭まっており、OB訪問などで「生の情報」を入手することに消極的だ、と分析する。
「例えば今回(09年)の調査では、トヨタ自動車が96位と大きく順位を下げています。これは一連の業績悪化によるものでしょうが、圧倒的な財務基盤をもつ同社がここまで順位を下げるというのは、学生が評価眼を持ちえていない証拠かな、とも思います。インターネットやテレビの断片的な情報を、近視眼的に頼りすぎている面があるのではないでしょうか」
新卒就活生の指導を行っている岡崎塾塾長の岡崎充さんも、
「多くの学生はCMをやっている会社か父親の働いている会社くらいしか知らないのでは」
とし、志望企業の傾向について、こう指摘している。
「今の子は素直でまじめな子が多いから、マスコミが報じることを鵜呑みにする傾向がある。ランキングは指標としては必要ですが、学生の回答にはあまり根拠はないんじゃないでしょうかね」