最もタイムリーな話題「量子論」
そんな中、物理学では旬な話題となっている「量子論」を萌えキャラが易しく解説した本も出た。
PHP研究所が2009年2月に売り出した漫画「『ねこ耳少女の』量子論~萌える最新物理学~」だ。ねこ耳のついた女の子キャラクター「あいりちゃん」が、「量子論」を解説していく。同時に、主人公との恋愛模様がストーリーには織り込まれている。
「量子論」とは、2008年ノーベル物理学賞の受賞時に話題となったキーワードだ。受賞者の小林誠さん、益川敏英さん、南部陽一郎さんらは「素粒子論」の研究を手がけた。「素粒子論」の理解には「量子」との関係を知る必要がある。
「話題になった『素粒子論』ですが、それは一体なんなのか、どういうことなのか、何がすごいのか――疑問に思った人も多いはずです。物理学ではもっともタイムリーな話題の1つだったので、著者の竹内薫さんとともに企画しました。『萌え』キャラを起用したのは、勉強が苦手な人でも最後まで読み終えられるようにするため。専門用語も、できるだけかみ砕いています」
こう話すのは、コミック出版部の編集担当者・前田眞宜さん。こういった話題性が功を奏し、発売開始2か月間で4万5000部を売り上げる好調ぶりだそうだ。ちなみに、ネット通販サイト「アマゾン」のブックレビューにも、
「萌え系学術書としてはかなり質が高く、文句を付けがたい仕上がり」
「この本をきっかけとして、物理や科学も面白そうだからとこれまでは立ち寄らなかった科学書のコーナーに足を運ぶ人がきっとでてくるだろう」
「高校で物理や化学を勉強してる人に是非読んでほしい。表紙その他で変な先入観を持たれやすいかもしれませんが内容はしっかりしています」
などと好意的な書き込みが目立つ。
PHP研究所では今後、漫画やアニメキャラクターなどのビジュアルを駆使した学術書の発刊にも力を入れていきたい、と話している。