北朝鮮の「ミサイル」発射問題に端を発し、「核武装」論議が盛り上がっている。自民党内でも「核」への議論が活発化しており、「核武装」、「国連脱退」との発言まで飛び出した。テレビ局の調査では「核武装」について反対意見が圧倒的だが、ネット上ではむしろ賛成の声が多く見られる。
「日本も『核を保有する』と言ってもいいのでは」
自民党の坂本剛二組織本部長は2009年4月7日、党の役員連絡会で「向こう(北朝鮮)は核を保有している。日本も『核を保有する』と言ってもいいのではないか」とし、国連脱退にも言及したという。同氏は8日、この発言を「核武装も国連脱退もできないことは分かっているが、北朝鮮に強く臨むため、例え話をした」と釈明している。
これに対して、7日、同党の河村建夫官房長官は記者会見で、「核保有の選択肢はあり得ない」とし、山崎拓衆院議員も、7日に講演で「誠に憂慮すべきだ。極端に言えば人類を破滅に導く議論だ」と厳しく批判。北朝鮮に対しても「6か国協議の再開に向けて対話の努力をしたほうがいい」と語った。
ただ、自民党内では、国防についての議論が活発に行われている。中川昭一前財相は09年4月5日、記者団に対し、北朝鮮の動きに対抗するため「核に関する議論もあっていい」と述べている。また、翌6日に行われた同党外交、国防両部会の合同会議では、山本一太参院議員が「対北朝鮮に対しては、自衛権の範囲内での敵基地攻撃を本気で議論することが抑止力につながる」と主張するなど、自衛隊の「敵基地攻撃能力」保有についての意見が相次いだという。
「公に発言をする政治家が出てきたことは大いなる進歩」
こうした日本の核武装論議について、フジテレビの報道番組「新報道2001」は、
「他国からの軍事的脅威に備え、日本も核武装をするべきだとの意見があります。あなたはこれに賛成ですか?」
とする電話調査を、首都圏の成人男女500人に対し行った。回答は、賛成が19.4%、反対が72.8%と、テレビ局の調査では圧倒的多数が反対だった。
ただ、ネット上の議論の様相は少し異なっている。巨大掲示板「2ちゃんねる」では、確かに「国連脱退も核武装もありえない」「いつか来た道だな」と、反対の声もあるが、
「核をチラつかせるのも外交には有効だと思う」
「公に(核武装の)発言をする政治家が出てきたことが大いなる進歩だと思う」
と発言を評価する声や、
「核武装賛成。話し合いをするにも、背後に武力は必要」
「このタイミングでの核保有は選択肢に入ると思う」
と、核武装に賛成する意見が多く見られる。北朝鮮との対話路線を強調した山崎拓衆院議員への批判も強い。
「世論調査.net」で09年3月22日まで行われていた「日本も核武装をするべきか」と問う調査(回答総数454・複数回答可)によると、「するべき」との回答が66.1%、「検討する価値はある」が47.4%と、テレビでの世論調査とは違った結果となっている。一方で「核武装するべきではない。検討にも値しない」という回答は9.9%にとどまっている。