不況で輸入車の販売台数が軒並み大幅に落ち込む中、超高級スポーツカー「フェラーリ」は絶好調だ。日本自動車輸入組合が発表した2008年度の新規登録台数は前年比30.2%増、09年3月を見ても前年同月の倍と大幅にアップしている。売れる秘けつは、揺るがない「ブランド力」にある。
09年3月の新規登録台数は225%増
09年夏に発売されるフェラーリ・カリフォルニア
日本自動車輸入組合によると、2008年度(08年4月~09年3月)の輸入車新規登録台数は19万9115台で、前年比24.8%減だった。このうち、外国メーカー車は17万6723台で22.2%減。ブランド別では、フォルクスワーゲンが21.2%減、メルセデスベンツが25.8%減、BMWが30.3%減と軒並み落ち込んだ。
そんな中、フェラーリは前年比30.2%増と絶好調だ。月別でみると、08年9月118.4%、10月142.9%、11月133.3%、12月134.6%、09年1月135.1%、2月66.7%、3月225%となっており、2月を除いて大幅にアップしている。
国内で販売されているフェラーリは1台2000万~3000万円台。長期ローンを組んでサラリーマンが新車を買うこともないわけではないようだが、お客のほとんど超リッチ層だ。
伊フェラーリが発表した08年通年の総販売台数は、前年比2%増の6587台。経常利益は27%増の3億3900万ユーロと過去最高で、世界同時不況の影響をまったく感じさせない。
「ロールスロイス」「ランボルギーニ」などの2000万円以上する超高級車の場合、受注生産方式を取っていることが多い。フェラーリも同様で、注文してから納品までに半年~2年かかる。そのため、今の販売実績は半年以上前にオーダーされたもので「時差」がある。
景気悪くなってもほとんどの客はキャンセルしない
公認フェラーリ専門誌「SCUDERIA(スクーデリア)」(ネコ・パブリッシング発行)の上野和秀編集員はこうみている。
「今出ている台数は景気がここまで悪くなる前に受注したものですが、納品後、ほとんどの顧客はキャンセルしないようです。数千万円という金額を出すだけのブランド力があるのだと思います」
揺るがないブランド力は、こんなところにも見られる。
フェラーリ・ジャパンは国内で販売する7車種を09年3月完成分から3~4%(約70万~363万円)程度値上げする。原材料高による生産コストで伊フェラーリが世界販売価格を引き上げるためだ。08年1月以降にも数百万円単位の値上げをしている。
「ルイ・ヴィトン」「クリスチャン・ディオール」「プラダ」などの高級ブランドが不況下で売れず、「円高還元」という名のもとに続々と値下げしている。フェラーリがこれだけ強気の商売ができるのは、売れているから成せる技、と言えそうだ。
09年夏には、待望の新型車「フェラーリ・カリフォルニア」が発売される。国内販売価格は2360万円。これも人気になりそうだ。