「10年後、漫画はあるのでしょうか?」
もっとも、人件費、取材費を削減することで利益を確保することもできるわけだが、そうすれば漫画の質が落ちたり、アシスタントの生活が成り立たなくなる可能性があると主張する。また、現在は出版不況が深刻になっていて、新人漫画家の原稿料は下がっている。これでは生活できないため、漫画家のなり手が減ってしまい、
「10年後、漫画はあるのでしょうか?」
と憂いているのだ。
大ヒットを飛ばしている漫画家であっても、漫画家を続けていくのが難しい時代なのだろうか。ある出版社の編集長はJ-CASTニュースに対し、アシスタントが必要のない漫画家であれば、ヒットした場合の収入は大きいが、佐藤さんのように6人のスタッフを抱えていると人件費が嵩む、と話した。また、漫画はキャラクターがヒットすれば、グッズ販売など高額な著作権収入が見込めるが、佐藤さんの漫画はシリアスな社会派ネタなので、キャラクターのヒットはなかなか難しいそうだ。「海猿」も「ブラックジャック」もテレビ化、映画化されたが、映像使用料として支払われるのは、テレビで20万円、映画は200万円ほどだそうだ。
一方、人気漫画家であれば、出版社が他社の漫画誌に書かないように独占的に抱え込むことがある。その場合、高額な報酬が支払らわれる場合があり、
「漫画家も、どの出版社を選ぶか、どんな契約に持って行くのかを考えるべきではないでしょうか」
と話している。