不況で公務員人気急回復 倍率556倍や説明会「過去最多」

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「会社は大丈夫か」社会人が増える

   不況になる前は、公務員人気は陰り気味だった。

   総務省の公務員課によると、自治体の職員採用試験の競争率は、2003年度が12.6%だったのが、07年度には7.2%にまで落ち込んでいる。国家公務員についても、人事院の試験課では、「採用試験の申込者数は、ここ数年下がり気味でした」と言う。それが、この大不況で、息を吹き返した形だ。

   中途採用では、若干名を募集した金融庁の採用試験に、経営破たんなどで失業した外資系金融マンらが殺到して、100人ほども応募した。最近は、新卒採用を大幅に絞ったり、内定取り消しも次々に行ったりされているだけに、新卒者が公務員志望になだれ込むのだろうか。

   資格試験の大手予備校「LEC東京リーガルマインド」の林田辰也公務員課主任研究員は、こう話す。

「受講生は今、新卒よりも社会人の伸びの方が大きいですね。働いているだけに『会社は大丈夫か』『会社にいられなくなった』と危機感が強く、社会人の受講生は昨年よりも、倍以上になりました。通常は1年前から勉強を始めますが、『半年で受けたい』と切羽詰まって言ってこられますよ」

   もっとも、新卒者の受講生も08年より倍近く増えており、今後はもっと伸びるとみている。

「内定取り消しばかりでなく、そもそも就職が決まらない大学4年生が増えています。そして、就職浪人しても、公務員試験を受けるという流れが出てくるかなとみています。キャリア採用も、例えば、経済職なら、これまで外資系の方を選ぶ人が多かったですが、今は厳しくなったために公務員に流れてくるでしょう」。

   この予備校のアンケートでは、公務員を選んだ理由について、安定的だからと答えたのが大きな割合を占めた。ただ、不況は未来永劫続くわけではない。林田主任研究員は、こう指摘する。

「確かに、公務員は、地方などでは給料が民間から高い場合も多く、一度就職すれば競争もそれほど激しくはならないはずです。しかし、景気がよくなったとき、民間の方が面白かったと後で選択を悔やむ心配がないとはいえないでしょうね」
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