2009年に入ってから上海株式指数は33.2%も上がった。それでも、中国の個人投資家たちは、日本のお盆に当たる清明節(4月4日)が過ぎると株式市場は一段と上がるだろうと強気の見方をしている。一方、2009年3月に入ってから各地の住宅価格も一斉に上がり始めた。鉄鋼やセメントなどの素材価格は、2月から徐々に上昇している。本格的な景気回復は近いのか。
09年に入って33.2%も上昇した上海株式指数
清明節の前日の4月3日、上海の株式指数は、2419ポイントだった。これは年初の指数より33.2%の上昇だ。
「G20が終わって、世界各国の株も上がっているが、中国は三連休のため、連休明けの4月7日に上海株式指数は2480-2520ポイントの間で上下動くのではないか」。インターネットで注目を集めている、鋭博股票というペンネームの株式アナリストはこう分析する。 2419ポイントは、08年11月4日の1704ポイントよりは高いが、その一年前の07年10月の6092ポイントにはまだ遠く離れている。
2008年11月、12月に中国の銀行は、それぞれ1兆元以上の融資を増加させたが、09年に入ってから、1月から3月までの銀行の融資は、さらに増えて、三か月で3.49兆元に達した。潤沢な資金が市場に流れ込み、株式市場の活性化をもたらした。
鉄鋼やセメントなどの素材価格は、2月から徐々に上昇し、発電量も継続的に増加している中、市場は回復していると政府系のマスコミは喧伝する。「アメリカ発の金融危機がやってきても、我々は自信を失ってはいけない」。ほぼすべてのマスコミは08年来ずっとそう叫んできた。
中国の株式・基金を購入する個人投資家は、それほど金融知識を持っているとは思えないが、だれもが自信満々で、おおらかに見える。彼らは中国政府のマクロ経済刺激政策のよき理解者というより、「ただの楽観主義者」だけなのかもしれないが。
255%増加した北京の中古住宅取引量
3月の中古住宅の取引量について、北京市不動産交易管理網は、関連データーを公表した。それによると、売買した中古住宅は19,993戸で、先月より113%増、昨年同期比では255%増だった。購入者も新婚の夫婦が主であり、「投資目的で購入する人が少ない」と、経済・隔週刊誌の『財経』は分析する。
ただ、不動産アナリストの牛刀氏は、「2010年まで住宅価格の継続的な下落傾向は、変わらないだろう」と見る。北京社会科学院が公表したデーターもほぼ同様のことを示している。北京市では1044.1万平米の住宅の在庫があり、まだデベロッパーが保有しているという。住宅の平均面積が120平米にしても、これは87000戸に相当する。こうした需給状態を見ると、住宅市場はさらに弱含みが続くと思われる。
中国全体の不動産の状況について、中国社会科学院工業経済研究所の曹建海部長は、
「2009年に新たな住宅建設もあり、中国のどこの都市も住宅が余剰化している。都市住民の収入はあまり増加せず、住宅の継続的な値上げはあり得ないと思われる。中国の都市部では住宅価格は、今後は40%-50%の値下げ余地があるはずだ」
と分析する。
中国では株価は上がってきたが、住宅価格の引き上げは困難と思われている。しかし、個人投資家は異常に強気なのだ。
(J-CAST 北京)