マスコミ関係者が匿名掲示板に書き込みをしたとみられるケースが相次いで発覚し、ネット上で話題になっている。「事件に関連する中学生の個人情報が見られる」などという書き込みに騙されて、テレビ局関係者がホスト名を不意に公開してしまったり、大手新聞社から差別的な書き込みをしていたことが発覚するなどだ。大手メディア関係者のインターネットに対するリテラシーの低さが浮き彫りになっている形だ。
2ちゃん「フシアナサントラップ」に引っ掛かる
2ちゃんねるには、インターネット上の住所にあたる「ホスト名」を表示させるための「フシアナサン(fusianasan)」と呼ばれる機能が備わっている。ところが、「『裏2ちゃんねる』が見られる」などと利用者を「誘惑」する書き込みも多く、書き込みが指示するままに操作した結果、利用者が意図しない形で「フシアナサン」を使用し、ホスト名を表示させてしまう例が相次いでいる。これは「フシアナサントラップ」として、ネット上では比較的有名だが、マスコミ関係者が、このトラップに引っかかってしまったようなのだ。
ここ数日で話題になっているのが、愛知県半田市の中学校で、男子生徒が「先生を流産させる会」を結成し、妊娠中の女性担任教諭の給食に異物を混ぜるなどしていた事件についての掲示板上での動向だ。
2009年3月28日、「2ちゃんねる」のニュース関連の掲示板に、この事件についてのスレッドが立ち、これが騒動の「震源地」になった。翌29日の19時半ごろ、こんな「裏2ちゃんねる」へのアクセスを誘う書き込みがあったのだ。
「裏2ちゃんねるに、『先生を流産させる会』事件があった中学の名前と 『先生を流産させる会』に関わった中学生の名前・住所・顔写真をうpしました。未成年の個人情報なので、表2ちゃんでは公表できないのであしからず」
文中の「うp」とは「アップロード」の意味で、文章は「『裏2ちゃんねる』にアクセスすると、中学生の個人情報が見られる」という趣旨だ。さらに、書き込みでは、
「書き込みの名前の欄にfusianasan.2ch.netと入れる」
「E-mail欄に居住地の県名(日本以外からなら国名)を記入する。これで最寄りのサーバから迅速にアクセスできるようになる」
「本文にパスワードの『handa handa』と入れて、書き込みボタンを押します」
といった具合に、具体的な操作方法まで指示している。だが、この手順こそ、「フシアナサン」機能を使用するための手順なのだ。