腫瘍の縮小がみられるのは、ごくごく稀
なかでも久留米大は、「日本でも、世界でも例がない」(同大)という珍しい治療法を取り入れている。通常、ワクチンは誰にも同じものを用い、いわば「既製品」であるのに対し、数10種ある薬剤から個々の免疫にあうものを最大4種組み合わせるという「テーラーメイド」方式だ。
久留米大学免疫治療学講座の講師は、
「一人ひとりの体内の免疫機能は異なっています。コストは数10倍かかりますが、臨床実験の結果、テーラーメイドのほうが効果があることがわかっています」
と明かす。
治療は週に1回、注射を打ち、6週連続で行う。注射を打った後は帰宅できる。かかる費用はおよそ60万円弱にものぼる。保険が効かないので患者には大きな負担だ。
効果については、
「腫瘍の縮小がみられるのは、ごくごく稀で、効果としては認められていません。ただ、免疫反応が増強するのは確実であること、一部の患者については生存期間が延長するといった効果が見受けられます」
と説明する。
ただ、がんワクチンの利点は副作用が少ないことで、他の治療法を組み合わせた利用が期待されている。