「視聴率が特に低いわけではなく、痛み分け」
かつてはドラマやバラエティの独壇場だった民放のゴールデンタイム。それが報道番組に力を入れるようになったのは、若者のテレビ離れによってターゲットが中高年になったことが大きいとされる。NHKのニュース番組が中高年の支持を集めているのに、民放が目を付けたわけだ。
しかし、放送評論家の松尾羊一さんは、夕方のニュースは、視聴率が低くて当然だとみる。
「夕方は、サラリーマン、OLが帰っておらず、主婦か定年退職者ぐらいしか見ないので、みなだいたいネタが決まっているんですよ。午前中に取材した動きや絵のあるホットニュースを流すわけですが、主婦に関心ありそうなデパ地下やゴミ屋敷の話題など、各局が共通して追っかけるようなものばかり。民放の中でTBSの視聴率が特に低いわけではなく、痛み分けということでしょう。2時間にして宣伝を打っても、TBSだけ視聴率を稼ぐことはありえませんね」
さらに、バラエティ出身の小林麻耶アナ登用については、手厳しい見方だ。
「40代以上の主婦や定年退職後の高齢者は、バラエティタレントは『訳が分からない』と興味ありませんよ。いつも同じことをやっているので、飽きられてしまっていることもあります。共同通信出身の男性キャスターと2人だけでは、今ひとつ華がありません。このままいけば、久米宏さんもう1回、ということになるかもしれませんね」
NHKニュースの視聴率がいい理由については、「時計の針みたいに、その日の区切りとしてNHKにチャンネルを定時に回す習慣ができているのでしょう。それなら、客観的にストレートに流すだけでいいわけです。強固な全国ネットを持つNHKには、情報収集力でもかないません」と分析する。
そんな中で、夕方の民放ニュースに活路はあるのか。松尾さんは、こう言う。
「報道番組は、安上がりでできるということもあるのでしょうが、自局アナを育てていないから、こういうことになるんですよ。また、番組内容も、生ものを独占中継したり、リポーターを使った特集に力を入れたりするなどしない限り、視聴者をもっと獲得できないでしょうね」