新聞社が夕刊を次々に廃止し、それに伴う「記者余り」がクローズアップされてきている。そうでない新聞社も、広告減でページ数が減るなどしており、記者余りは人ごとではない。どうすればよいのか。
定年退職で人が足りなくなった部署などに異動
「記者も、取材部門だけでなく、総務、事業、広告、営業にも行きますよ。3年ごとのローテーションを早めるなどした形で、希望や適性などを考えて決めました」
2009年2月末で夕刊を廃止した沖縄の地方紙「琉球新報」の人事部長は、廃刊に伴う配転について、こう説明する。余剰人員は、定年退職で人が足りなくなった部署などを探して割り振るという。規模が大きいケースだけに、やり繰りには苦労しているようだ。
全国の新聞各社では、夕刊廃止がこのところ相次いでいる。
「毎日新聞」が08年8月末で、北海道版を止めたほか、9月末には「秋田魁新報」、10月末には夕刊紙「名古屋タイムズ」が続いた。そして、09年に入っても、2月末に「沖縄タイムス」「琉球新報」「南日本新聞」と一気に3紙が夕刊を止めている。
その理由について、琉球新報は「資材費に当たる紙代が高騰したのが大きい」、南日本新聞は「読者層が拡大せず、部数の問題があった」という。一般的に、若い世代などの新聞離れ、共働きなどによる生活リズムの変化で夕刊読者が減っていると言われており、両紙もこうした要因もあったことを認めている。
部数が減れば、広告収入も減る悪循環になる。紙代、印刷代を考えると、人員余剰が出ても、止めた方が安上がりというわけだ。
夕刊廃止で、各社とも対応に苦慮するのが「記者余り」対策だ。南日本新聞社の経営企画局では、「具体的なことは申し上げられませんが、全社的な要員の配置で対応しました。3、4月の2回に分けて、配転を実施しています」と話す。
今後、新聞記者の採用停止が出てくる
「記者余り」が問題化するのは、夕刊廃止に限ったことではない。新聞不況で、広告出稿が減って、新聞のページ数も減っており、ほとんどの新聞社が記者余りの事態に直面していると言われる。活字を大きくした影響もある。
今後も、読者離れで夕刊が次々に廃止になる可能性は大きい。朝刊に対する夕刊の割合を考えると、3~4割の人員余剰は出るとも言われるだけに、各社とも「記者余り」対策は必至だ。
毎日新聞OBでジャーナリストの河内孝さんは、今後、新聞記者の採用停止が出てくるとみる。
「アメリカでは、記者の首切りもありますが、日本では、組合が強いので、採用を止めるか、絞るしかないからです。もちろん、希望退職を募ったり、営業に回したりということもありえます」
そして、将来的には、記者の数を絞って、取材部門などに特化すべきだと説く。
「新聞社は、各社とも、原料購入から配達までの部門を含んだ垂直型産業構造になっています。それを共同購入・配達にするなどして、出版社化することが求められるでしょう。いわば、産業合理化すれば、生き残れるということです。新聞社なら、ニュースペーパーからニュースオーガニゼーションにならないといけない。ペーパーレスになることも含めて、通信社みたいになることですよ。全国紙は、通信社になって、地方紙に記事を売ればいい。このような通信社になる過程でのリストラは、やはり避けられないでしょうね」