セブン-イレブンの創業者として知られる鈴木敏文氏のインタビューが、ネット上でちょっとした話題になっている。「セブン-イレブンでバイトをすると3か月で経営を語り始める」という、にわかには信じがたい内容で、その真偽をめぐって議論が繰り広げられている。
やる気を引き出す仕組みを強調
セブン-イレブンのアルバイト教育が話題になっている
話題になっているのは、経済誌「プレジデント」に掲載された鈴木氏のインタビュー。「プレジデントロイター」のウェブサイトでも連載されており、3月20日掲載の人材育成について触れた部分が注目されているのだ。
記事のタイトルは「なぜ、セブン-イレブンでバイトをすると学生でも3カ月で経営を語り始めるのか?」というもので、記事中では、鈴木氏がアルバイトの位置づけについて
「人間は善意の生きものですから、自分を啓発する力を誰もが秘めています。それを引き出すきっかけや仕かけがその場にあるか。セブン-イレブンの場合、自分で責任を任され、成果を出していく経験が自己啓発力を引き出していくのです」
などと説明。何故「3か月」なのかについては不明ながらも、同社のアルバイトに対して、やる気を引き出す仕組みがあることを力説している。
記事の見出しが刺激的だっただけに、この記事はネット上でもそれなりの注目を浴びた様子で、「はてなブックマーク」でも、200以上のブックマークがついている。その内容はというと、
「格好いいな」
「気づきを与えることが大事」
などと、鈴木氏の意見に賛同する声がある一方で、労働力を安く使うための方便に過ぎないのではないかなどと指摘する声もある。
この記事は、ブックマークが多くついた記事を紹介するサイト「はてなブックマークニュース」でも紹介されており、同サイトでは「必ずしも肯定的なコメントばかりではないようです」と論評されている。
様々な仕事を担当、単なるレジ打ちではない
では、実際のところ、「3か月で経営は語れる」のか。
セブン-イレブンの広報担当者は、
「アルバイトの方には、発注、検品、在庫管理、売り上げの『締め』など、様々な仕事を担当していただいています。『単なるレジ打ち』と誤解されることも多いのですが、それは違います。広く店舗づくりに参加していただきたいと思っています。そのトレーニングをするためのガイドブックも整備しています。自分が仮説を立てて発注した結果、よく売れれば嬉しいと思うでしょうし、それが働くという喜びにつながっているのだと思います」
と、前出の記事同様に、教育システムの優位性を強調する。
一方、セブン-イレブンの大阪府内のフランチャイズ店で7か月ほどアルバイトをしたという20代男性は、
「ジュースやお菓子などを専用の端末で発注するのですが、そのときは、色々と考えますよね。自分が考えたとおりに棚をレイアウトして、その結果良く売れたりした時には、確かに多少は面白いと感じました。ただ、細かい売り上げについては店長が見ているだけなので、アルバイトが『3か月で経営を語る』というのは、ちょっと厳しいのではないでしょうか」
と、「3か月説」には、やや懐疑的だ。
こう見ていくと、広い意味で、商売への意識が高まることは間違いなさそうだが、3か月で「経営を語る」というレベルまで到達するかどうかは怪しい、というのが実際のところのようだ。