比較的若い世代の正社員も「賃上げ」
もっとも、同社では契約社員も労組に加盟しており、労組側の説明によると、
「同じ職場で雇用制度が違うと、職場が分断される」
として、06年度から雇用形態の一本化を求めて会社側と交渉を進めてきたのだという。その結果、
「労組側の要求とは、かけ離れた部分があったものの、会社の体力からすると精一杯(会社側が努力した)ということで、仮合意に至った」
のだという。さらに、今回の制度一本化で、正社員にも賃上げが期待できる部分があると説明する。
「実は、契約社員制度が導入される直前(98~99年頃)に入社した正社員は、契約社員よりも待遇が悪いんです。現在の運転士の月額賃金は23万1000円なのに対して、この世代の正社員は20万7000円。入社時は17~18万円でした。試算したところ、今のペースで昇給したとしても、定年時に25万円に到達しないことがわかったのです」
好景気時の春闘では1万円台の賃上げが行われた時期があり、この恩恵を受けたのが前出の「ベテラン組」。この反動で、90年代後半に入社した世代の賃金が抑えられたということのようだ。契約社員だけでなく、比較的若い世代の正社員に対しても「賃上げ」となることから、労組としてもベテランの賃下げを受けいれた格好だ。
契約社員が労組に加盟していない私鉄も多いが、今回のケースは全国的に注目されそうだ。