「大赤字になる可能性もあるので、頭を痛めています」
地権者の要求を飲んだことは、今後、公共事業を進めていくうえで悪弊がないのか。
静岡県の空港部整備室では、「知事の意思ですので、お答えしかねます。困惑しているかについても、ノーコメントです」と言うのみだ。
前出の自民党県議は、「今回については、地権者がそれで儲かるようなことがないので、ゴネ得はないと思います」と話す。ただ、「知事の対応に怒っていたので、辞職したことで、自分の顔が立ったと考えているのでは」と言う。
ネット上では、地権者の顔を立てたことは悪い先例になりうるとの声もある。兵庫県の男性は、自らのブログ「暇つぶし」の日記で、「こんなことで知事が辞めていればきりがないのと、成田空港の拡張工事に伴う用地買収ができなければ、総理大臣・運輸大臣がやめなくてはならなくなるのではないだろうか 各種公共事業も用地買収の悪例のひとつになるだろう」と書いている。
また、そもそも将来の見通しも乏しいままに性急に空港開港を進めようとしたことが、今回のようなおざなりな測量ミスを招いたとの批判があるようだ。
ミクシィの日記をみると、「静岡は新幹線などの交通が便利だし、飛行機の運賃が高く本数も少ないため客が羽田や中部に流れるので、非常に厳しいでしょう」「航空業界も厳しい時代を迎えている。空港作りゃ、黙っていても定期便を飛ばしてくれるわけではない。ドンブリ勘定の需要予測で空港作って、最初は定期便が飛んでも、採算がとれないことが判れば、即廃止となるだろう」などと厳しい声が相次いでいる。
自民党県議も、「大赤字になる可能性もあるので、頭を痛めています。生活向上や新たな産業や経済の発展のため、県民や企業に利用してもらえるよう努力するしかない」と話す。一方、県空港部整備室では、「最初は赤字かもしれませんが、5路線からさらに新路線を増やすなどの努力をして、何年か先には黒字になると考えています」と話している。