旅客機に乗る時に預けたスーツケースなどの手荷物が、1年間に全世界で4200万個紛失し、うち126万個が見つからず、38億米ドルの損害賠償請求が出されている――こんな衝撃のレポートが、ヨーロッパに拠点を置くコンサルタント会社から出された。なぜこんなことになってしまうのか。
欧州では300人乗り旅客機で常時5人が被害
旅客機の手荷物に関するレポート「Baggage Report 2008」を出したのは、世界220ヵ国で旅客機の手荷物状況をインターネットリサーチしている「SITA」(シータ)。それによると、航空機会社が預かった手荷物のうち、2007年には4200万個のバッグが行方不明になった。05年は3000万個、06年は3400万個と年々増えていて、このままでは旅客機利用者の増加に比例し10年後の19年には7000万個が失われるだろう、と予想している。無くなった手荷物の大半は48時間以内に見つかるのだが、07年は126万個が完全に紛失した。
しかし、航空関係職員が手荷物を積み忘れたり、逆に降ろし忘れたり、引き渡し場所を誤るなど様々な原因が考えられるが、それにしても126万個が完全紛失、というのは驚きだ。
日本でも航空機会社に預けた手荷物の紛失が増えているのだろか。全日空広報は、
「日本の航空会社の場合は荷物を紛失する、などということはめったにありません。ましてや完全に無くしてしまうなどというのは考えられません。全てコンピュータ管理していますので、一時的に見失ったとしてもすぐに見つかる仕組みになっています」
と説明する。
ある航空関係者はJ-CASTニュースに、荷物の紛失は乗り換えの際に多発している、と打ち明ける。特に多いのがヨーロッパ。例えば300人乗りのジェット機の場合、1回の飛行で平均して5人の荷物が無くなる状況なのだという。