日本車の「品質神話」に陰り 「レクサス」がGM、ジャガーに抜かれる

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   品質では他を圧して世界一だったはずの「日本車神話」に陰りが出ている。米調査会社J・D・パワー・アンド・アソシエイツの「米国自動車 耐久品質調査」(2009年版)によると、14年連続で首位だったトヨタ自動車の「レクサス」が、米ゼネラル・モーターズ(GM)の「ビュイック」と印タタ自動車の「ジャガー」にその座を明け渡し、3位に転落した。日本の自動車メーカーが米国市場に、「レクサス」などの高級車を本格的に投入してから20年。品質格差が縮まって、日本車の今後はますます厳しくなりそうだ。

米ビッグ3が巻き返し?

   米調査会社JDパワーの「米国自動車 耐久品質調査」は、発売から3年経った自動車を保有している人約4万6000人を対象に、故障の有無などの不具合の多さを聞いてランキングしている。

   JDパワーによると、2008年版の調査で「レクサス」は100台あたりの不具合指摘件数が120件だった。業界平均は206件で、「ビュイック」は163件の6位、「ジャガー」は178件の10位だった。

   10位以内には、「アキュラ」(ホンダ)、「プリウス」や「カローラ」のトヨタ・ブランド、「アコード」や「シビック」のHONDAが食い込み、Mitsubishiや「インフィニティ」(日産自動車)も業界平均の範囲内に収まっていた。

   それが2009年版では、「レクサス」が126件で3位に転落。首位は、米GMの「ビュイック」が08年の6位から、タタの「ジャガー」は同10位から躍進した。08年に5位につけていた「アキュラ」は7位に後退。08年は上位5位のうち、3社を日本勢が占めたが、09年は2社に。また業界平均が170件のところ、Mitsubishiは185件と平均より不具合が多かった。

   自動車業界全体で品質の改善が進むなかで、GMの「キャデラック」や、フォード・モーターの「リンカーン」や「マーキュリー」といった「高級アメ車」、さらには印タタや韓国のヒュンダイなどが技術力を上げてきた。それによって、日本の強みだった品質の「格差」がなくなってきたわけだ。

景気悪化で「長く品質のよいクルマに乗る人」増える

   日本車は「燃費のよさ」「品質のよさ」が売りものだった。この差がなくなってきたということは、日本車の優位性が失われつつあるということでもある。

   米国人にとって、クルマは成功の象徴でもあるから、多少壊れやすくても伝統や格式を重んじる。キャデラックやリンカーンなどが売れていたのもそのため。一方、「レクサス」や「インフィニティ」が投入された1989年以前の日本車には「安価な大衆車」のイメージがあって、米国で売るためには、その安っぽいイメージを払拭する必要があった。「レクサス」などの日本車はこの20年、「壊れにくい高級車」となって、売上げを伸ばしてきたのだ。

   JDパワーは「景気悪化で、品質やデザイン、エンジンのどれをとっても長持ちして、長く乗りたいと思うクルマを買おうという傾向にある」と、消費者意識の変化を指摘する。品質が劣るとみられていた「アメ車」だが、GMの「ビュイック」は03年に再設計してから毎年トップ10に顔を出す。故障が少なくなれば、ステイタスを重んじる「アメ車」は売れる可能性がある。

   トヨタは「調査の結果は知っている。不具合がとくに急激に増えていることはないし、いまのところ原因分析を行っているわけではない」(広報部)と話すが、景気浮揚を願う米国人は、心情的にも「アメ車」に向かうかもしれない。

姉妹サイト