大気圏外迎撃、地上迎撃も実効性に疑問
国内では「迎撃期待論」が広がっているが、自衛隊法の規定では、迎撃が認められるのは、日本の領域内で人命・財産に対する被害を防止する必要がある場合のみ。したがって、北朝鮮の計画どおり、ロケットが秋田・岩手県上空の宇宙(領域外)を通過した場合には、迎撃することはできない。問題が起こるとすれば、1~2段目のロケットにトラブルが発生した時だ。もっとも、1段目の場合は、ロケットは発射基地の近くに墜落するはずなので日本には直接の影響はない。2段目にトラブルが発生した場合、日本は対応を迫られることになる。具体的には、MDシステムは (1)日本海上に配備されたイージス艦に積んだ海上配備型のSM3ミサイルが大気圏外で迎撃する(2)(1)で迎撃できなかった場合は地上に配備した地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)で迎撃する、という2段構え。そのいずれにもついても、田岡さんは実効性に疑問を呈している。SM3については、
「問題なのはロケットの2段目に異常が発生したときです。日本国内に物体が落ちてくる状態なら迎撃すべきです。ただし、ロケットに異常が発生し速度の針路が乱れると、迎撃する側にとっては弾道計算が難しいから、迎撃は技術的に困難になるでしょう」
と、命中する可能性に疑問を呈する一方、PAC3については、
「PAC3を東北地区に持ち込むという話も出ているが、PAC3は低空用で射程20キロ以下のミサイルです。迎撃する以前に大気との摩擦でロケットの一部は溶けたり、空中分解して残骸が降ってくる。低空で一部の残骸にPAC3が当たっても、残骸が落ちてくることには変わりありません」
と、迎撃したところで、大して意味がないとの見方だ。